コスト削減に向けたオリジナルの「5S」の工夫を
もちろん、これまで説明してきた「5S」は、あくまで一般的な枠組みに過ぎない。しかし、一口に「製造業」と言ってもても、その幅は広い。完成品を組み立てるメーカーもあれば、その部品のメーカーもいる。作るのは機械だけではなく、食品もある。
それぞれ品目ごとに製造現場の状況は異なるはずだ。それならば、5Sを1つの固定された考え方と捉えず、自社に合わせてアレンジしたり、解釈を変えたりして柔軟に運用することが大切である。いくつかヒントを紹介する。
整理に関するヒント:要らないものには「不要」シール
整理に関しては上でも触れたが、必要なものと不要なものをバッサリと分けてしまう。
どうしても「後々また使うかも…」と考え、とっておきがちだが、そのようなケースがあまりに増えると「整理」にならない。例えば「直近1年間は使わなかったもの」といった基準を定め、該当すれば機械的に「不要」シールを貼っていくなどの方法が有効だろう。
清掃に関するヒント:5分の清掃で社内ポイント付与
元から清掃を好きな人はあまりいない。しかし、職場が雑然としていると仕事の効率も落ちてしまう。清掃を「上から言われた作業」ではなく、自分の業務の一部として当事者意識を生むことが必要だ。
「鼻先にニンジンをぶら下げて走らせる」に似た方法には賛否両論があるだろうが、当初の動機付けとしては効果があるかもしれない。例えば、自主的な清掃を5分間したら社内で使えるポイントを付与し、貯まったポイントに応じて特典を受けられるようにしてはいかがだろうか。
特典の内容は難しいが、それを「給料アップ」にしてしまうと、モチベーションとして強すぎるきらいがあり、特典がなくなった際の反作用が大きい。例えば、ポイントに応じて昼食時に弁当が支給されるとか、あくまで「自分から進んでやった結果、少しだけ得できた」程度の特典にすべきだ。
最も大切なのは職場をキレイにすることで気分が良くなったり、物を探しやすくなったりといったメリットを従業員が実感し、清掃に関するモチベーションを育てることである。過剰な特典は避けるべきだろう。
コスト削減に向けた5Sで大切なのは継続、そのための意識付け
以上、5Sの内容と導入のポイントを紹介してきた。実行にはマニュアルやノウハウに頼る部分が大きいが、単に5Sを導入するのではなく、コストの削減によって経営へのプラス効果まで生もうと考えるなら、継続することこそが重要だ。
そして、継続のために欠かすことができないのは、メンバーの意識改革である。自ら業務の効率を見直し、自発的に職場の衛生面を改善する意識が組織に根付けば、5Sの好循環に入る。マニュアルは自然と見直しの機運が生まれ、ノウハウはどんどん蓄積される。5Sの実行や継続のための具体策が新たに出てくるようになれば、当初の想像を超えたリターンが生まれることもあるだろう。
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