本記事は、木下勝寿氏の著書『時間最短化、成果最大化の法則 ── 1日1話インストールする“できる人”の思考アルゴリズム』(ダイヤモンド社)の中から一部を抜粋・編集しています。

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(画像=beeboys/stock.adobe.com)

たった1週間で一流品と模造品を見分ける方法

芸能人を集め、「一流品」と「模造品」の違いがわかるかというテレビ番組があるが、あなたは「一流品」と「模造品」の違いがわかるだろうか。

あるマンガで、「一流の焼き物の見分け方」について描かれていた。

焼き物の世界では、一流品は何百万、何千万円するが、素人には1,000円の器との違いがほとんどわからない。熟練した「目利き」になるには何年、何十年とかかりそうだ。

しかし、そのマンガには、たった1週間で一流品と模造品を見分けられるようになる方法が載っていた。

主人公はまず、一流品といわれる湯呑み茶碗をたくさん用意した。

そして弟子に、その湯呑み茶碗で茶を飲むように1つずつ飲み口を唇に当てさせた。

それを6日間続け、7日目に湯呑み茶碗の中に模造品を混ぜた。

すると、弟子は模造品を唇に当てた瞬間、違和感に気づき、「これは違う」と一発で当てた。私はこのエピソードから2つのことに気づいた。

一流かどうかの判断基準

このマンガでは、湯呑み茶碗の価値を「誰がつくったか」「見た目が美しいか」「どんな歴史があるのか」という周辺の価値ではなく、「気持ちよくお茶を飲めるか」という本来の価値で判断しようとしていた。

そもそも湯呑み茶碗の価値は、「湯呑みとして秀でていること」が出発点である。そして、それをほしいという人が出てきて、その人数が一定以上になると、供給量が間に合わなくなる。そうなったときに、プレミアムがついて価格が上がっていく。

よって、スタートはやはり、「湯呑みの機能としての価値」だ。

一流といわれるものは、本来の使用目的自体が一流だから一流になっている。

だから、ユーザー感覚で「いいものかどうか」という判断基準が最も大切だ。

私はネットのB to C向け新サービスを一目見ただけで、売れるかどうかわかる。

そのときも「1人のユーザーとして使いやすいか」という観点で見ている。

いくら有名で鳴り物入りで始まったサービスでも、使いにくければ、本来の価値は低い。

有名企業の始めたサービスや、テレビCMを大量に流しているサービスでも、使いにくければ、ユーザーがすぐ離れていく。一流には「本来の価値」がなければならない。

2万円のジーンズと3,900円のジーンズはどこが違うのか

このマンガにはもう1つのポイントが隠されている。

「一流品に触れ続けているうちに、模造品に当たった瞬間、違和感に気づいた」ことだ。

「模造品に触れ続けているうちに、一流品に当たった瞬間、違和感に気づいた」のではない。

一流品に触れ続けていると目が肥えてきて、模造品との違いに徐々に気づけるようになる。だが、模造品に触れ続けていてはダメだ。

一流に触れ続けていると、一流とそれ以外の峻別がすぐできるようになる。

私事で恐縮だが、私は元々服にはあまり興味がなく安物の服を着ていた。

正直3,900円のジーンズと2万円のジーンズの違いがわからなかった。

「生地やデザインの違いなのだろうが、3,900円でも多彩な生地やデザインがあるので、その中から十分選べるのではないか。それだけで5倍の価格差なんてあるのだろうか?
2万円のジーンズを買う人は、『ブランド名』で見栄のために買っているんだろう。
ブランド名なんてネームラベルでしかわからないので、上着で隠れていたら、その2万円の価値は台無しではないだろうか? 何のために3,900円で買えるジーンズを2万円で買っているんだろう」

と思っていた。

だからずっと3,900円のジーンズを買っていた。

しかし、結婚して妻が私の服を選ぶようになると、2万円くらいのジーンズを買わされるようになった。

正直3,900円のものと違いがわからないジーンズに2万円も払うのは苦痛でしかなかったが、妻に逆らえず、身につける服は少し高いものばかりになっていった。

そうしてジーンズは2万円くらいのものばかりをはくようになると、3,900円のジーンズをはくとすぐに違和感に気づけるようになったのだ。

言葉では説明しにくいが、2万円のジーンズをはくとシルエットに立体感が出るが、3,900円のジーンズはペタッとしている。

3,900円のジーンズばかりはいているときは2万円のジーンズとの違いはわからなかったが、2万円のジーンズをはくようになると、3,900円のジーンズとの違いがわかるようになったのだ。

業界1位社員と万年2位社員の決定的な考え方の差

また、こんな話もある。

私が以前勤めていたリクルートは業界ナンバー1企業だった。

当時、「業界ナンバー1は、なぜ自社がナンバー1かをわかっている。しかし、ナンバー2以下の会社は、なぜ自社がナンバー1になれないのかがわかっていない」と感じる出来事があった。

たまたまその業界ナンバー2の会社に、高校時代の同級生が勤めていた。

彼と会ったとき、「おまえの会社が業界1位なのは、たまたまうちより早く参入したからだ」と言われた。

これを聞いた途端、私は、この差は永久に埋まらないだろうと感じた。

はっきりいってリクルートと業界ナンバー2の会社では営業力が桁違いだ。

その差に気づかず、自分たちが万年2位の理由を単なる「タイミングや運」ととらえているのだ。

事実、その後の順位はそのとおりに推移した。

1位の会社はなるべくして1位になっており、2位の会社はなるべくして2位になっている。

1位には1位の理由があり、2位以下には2位以下になる理由がある。

そして悲しいかな、1位は2位以下の理由が理解できるが、2位以下は1位の理由が理解できない。

1位になるには1位の中に入り、1位の常識に染まることが大切だ。

私が就職相談を受けたときに必ず言うのは、「小さな業界でもいいから業界1位の会社に行きなさい」ということ。

「1位の会社から2位の会社には転職できるが、1位の会社は2位以下の会社から転職者をめったに受け入れない。同業2位以下の経験者より、他業界の未経験者を受け入れる」という事実を伝えるのだ。これはなぜか。

「同業2位以下にいた」ということは、業界2位以下の常識に染まっており、1位の常識を理解できない可能性が高い。それなら、常識に染まっていない未経験者の伸び代に期待するというのが、経営者の判断というものだ。

三流の人が絶対やってはいけないこと

視座は人からの影響で養われる。視座を高めるには「視座が高い人」と接するのが一番だが、相手を厳選することがとても大切だ。

自分を三流と仮定した場合、一流を目指すなら、一流以外と接してはならない。

一番避けるべきは「二流の人と接すること」だ。

三流の立場からは二流の人は自分より上なので、もろに影響を受けてしまう。

一方、二流の人は「いずれ一流になるが、まだ二流の人」と「万年二流の人」の2種類に分かれる。

前者と接するのはいいが、後者と接すると「万年二流」の影響を受けてしまい、「いつまで経っても一流になれない視座」になってしまう。

三流の視座では、目の前の二流の人が前者なのか後者なのか見分けられない。

だから、自分が三流のうちは二流の人とは接しないのが一番だ。

二流の人から誘いがあっても理由をつけて断る。自分が二流になって、同じ立場で前者と後者の区別がつくようになったらつき合う。

最短で視座を高めたいなら、「今は一流以外と接しない」と決めることが大切だ。

一流を知ると、なぜダマされなくなるのか?

では「一流を知る」と、どんなメリットがあるのか。

意外なのは、一流を知るとダマされなくなることだ。

世の中の「いいもの」は、2割の「本当にいいもの」と8割の「いいといわれているだけのもの」で成り立っている。

「いいといわれているだけのもの」とは、「権威のある人がいいと言っていた」というケースが多く、その根拠は「他の権威ある人が言っていた」だけだったりする。

多くの人は、「いいといわれているだけのもの」を購入し、失敗する。

一流を見抜く目が養われると、「いいといわれているだけのもの」にふりまわされない。

一流のものを見る目ができると、「買う価値のあるものは意外に少ない」と気づく。

すると、あまり変なものを買わなくなり、貯金もでき、いいものを少し買って長く使おうという姿勢になる。

ネットの普及により、さまざまな商品・サービスの実態が明るみになりつつある。

本物ではない商品・サービスのメッキがどんどんはがされている。

もう「一流の本物」しか生き残れない時代になったのだ。

ヘタなテクニックがなくても、「本物」でさえあれば、口コミでどんどん広まる。

本物しか通用しない時代に一流を学ぶ意味は大きい。

=時間最短化、成果最大化の法則
木下勝寿
株式会社北の達人コーポレーション(東証プライム上場)代表取締役社長/株式会社エフエム・ノースウエーブ取締役会長。
1968年神戸生まれ。大学在学中に学生企業を経験し、卒業後は株式会社リクルートで勤務。2002年、eコマース企業「株式会社北の達人コーポレーション」設立。独自のWEBマーケティングと管理会計による経営手法で東証プライム上場を成し遂げ、一代で時価総額1000億円企業に。フォーブス アジア「アジアの優良中小企業ベスト200」を4度受賞。東洋経済オンライン「市場が評価した経営者ランキング2019」1位。日本政府より紺綬褒章8回受章。著書に『売上最小化、利益最大化の法則』(ダイヤモンド社)、『ファンダメンタルズ×テクニカルマーケティング』(実業之日本社)がある。

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