本記事は、木下勝寿氏の著書『時間最短化、成果最大化の法則 ── 1日1話インストールする“できる人”の思考アルゴリズム』(ダイヤモンド社)の中から一部を抜粋・編集しています。

人のせいにしない人に変わる
この世に仕方のないことは存在しない法則

ビジネス,Good
(画像=THAWEERAT/stock.adobe.com)

上司から評価される人、されない人の決定的な差

ミスというとネガティブな話になりがちだが、プラスにとらえると好転するという話をしておきたい。

トラブルやミスが起きたときに、評価を下げたくないために「自分の責任ではない」と、必死に弁明する人がいる。そんなとき、上司はどう思っているだろうか。

上司はメンバーとともに仕事をやり遂げるのが責務なので、「自分の責任ではない」と熱弁するメンバーに仕事を任せたいとは思わない。

さらにいえば、「言い訳を聞かされている暇があったら、自責の念で率先して改善に動いてくれるメンバーに頼みたい」と思っている。上司は「自責で改善に取り組む人」を評価する。

逆にいうと、トラブルやミスが起きたとき、自責と思っていれば評価され、成果を上げやすくなる。松下幸之助氏は「雨が降っても自分のせい」と言った。

この意味は「どんな出来事があっても、誰かのせいにするな。当事者意識を持て」ということだ。自分の頭で考え行動することが、成果を上げ続ける人の王道なのだ。

この世に仕方のないことは存在しない理由

もう少し詳しく触れたいことがある。

失敗やミスの原因を説明する際、「今回は外部要因であり、仕方なかった」「自分の責任ではない」という「思考アルゴリズム」の人と、「自分が◯◯すればよかった。自分の責任だ」という「思考アルゴリズム」の人がいる。

前者のように「今回は想定外のことが起きたのでミスが起きました(だから仕方がなかったのです。私のせいではありません)」と考える人は、次に想定外のことが起きたときにも同じようにミスをする。

後者のように「今回◯◯ということが起きたのでミスが起きました。事前に深く考えていれば◯◯が起きることは想定できたはずです。今回は私の想定不足です」と考える人は、これをきっかけに「想定範囲」を広げ、「想定外のミスが起きる確率」が減る。よって大きなミスをする確率も減る。

たとえば大雪で電車が遅れ、遅刻したとしよう。

前者は「電車が止まったから仕方がない」と考え、後者は「冬は毎日前日に天気予報で大雪の可能性を予測し、早めに家を出よう」と考える。

はっきり言おう。この世に本当の意味で「仕方のない」ことなど存在しない。

道に迷う人は方向音痴だから迷っているのではなく、方向音痴なのに地図を持たない(スマホなどで地図を見ない)から迷っている。

ミスが多い人は、ミスの発生率が高いのではなく、チェックをしないからミスが多い。

タスクを忘れる人は、忘れっぽいからではなく、「わかるようにメモしていない」から忘れてしまう。本人は生まれ持った性格のせいにするが、実はちょっとした努力不足が犯人だ。

反対にいえば、ちょっとした努力でミスはなくなり、上司や同僚からの信用は一段と高まる。

中堅・ベテランも危険! 経験がミスを生むことも

ちなみに、経験がミスを生むこともあるという話をつけ加えておこう。

上司が「○○という製品に関する情報を検索して」とAさんとBさんに依頼したとする。

Aさんは「探したけれどありませんでした」、Bさんは「3件の情報が見つかりました」と言ってきた。

この場合、見つけられなかったAさんは、「普段から検索エンジンを使い慣れている人」、見つけたBさんは「検索エンジンを使い慣れていない人や新人」だった。

書き間違いではない。

「普段から検索エンジンを使い慣れているAさん」は、検索エンジンにキーワードを入れると、検索結果の最初の5ページ以内で必要な情報にたどり着く。それが固定観念となり、「検索結果の最初の5ページ以内で見つからないと情報はない」と判断した。

ところが、「検索エンジンを使い慣れていないBさん」はそもそもの目安がないので、5ページで見つからなければ、10ページでも20ページでも、時には検索ワードを変えながら探し続けた。すると、時間はかかっても情報を見つけられたのだ。

このように、「簡単にすぐ見つかる情報」なら経験のあるAさんに頼んだほうが早いが、「見つけにくい情報」だと固定観念が邪魔をして、見つける能力が極端に下がってしまう。

人は「知識」「経験」を積むことで生まれる「思い込み」「固定観念」によって本来は無限の可能性のある自分の能力を封印してしまうこともあるのだ。

互いに戒めとして気をつけよう。

=時間最短化、成果最大化の法則
木下勝寿
株式会社北の達人コーポレーション(東証プライム上場)代表取締役社長/株式会社エフエム・ノースウエーブ取締役会長。
1968年神戸生まれ。大学在学中に学生企業を経験し、卒業後は株式会社リクルートで勤務。2002年、eコマース企業「株式会社北の達人コーポレーション」設立。独自のWEBマーケティングと管理会計による経営手法で東証プライム上場を成し遂げ、一代で時価総額1,000億円企業に。フォーブス アジア「アジアの優良中小企業ベスト200」を4度受賞。東洋経済オンライン「市場が評価した経営者ランキング2019」1位。日本政府より紺綬褒章8回受章。著書に『売上最小化、利益最大化の法則』(ダイヤモンド社)、『ファンダメンタルズ×テクニカルマーケティング』(実業之日本社)がある。

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