運転資金不足を避けるためには?
将来の収入と支出の流れを記録する「資金繰り表」が役に立つ。運転資金不足になるのは、入金と支払いのサイクルのずれ、売上と費用の計上のタイミングのずれが原因だ。そのずれをしっかり反映させ、月末の残高がいくらになるかを把握することで、運転資金不足を避けやすくなる。
ただ、くれぐれも、取引先の倒産などで売掛金が回収不能になる可能性があることは想定に織り込んでおきたい。
債務超過によって「融資が受けられなくリスク」
債務超過とは、会社の財務状況が悪化して負債が増えていき、負債の額が資産の額を上回った状態のことだ。運転資金が足りていれば、債務超過だからといって、すぐに倒産するわけではない。
少し古いデータだが、2019年版中小企業白書によると、2007年度から2016年度までいずれも中小企業の30%以上が債務超過状態だった。
債務超過と赤字の違い
債務超過と混同しやすいが、「赤字」は、単年度の収支がマイナスになっている状況を指す。債務超過は、これまでの経営の結果を累積したものであるのに対し、赤字は単年度の経営成績を示している。
単年度では赤字であっても債務超過ではないことがある。逆に、単年度では黒字だが、実際は債務超過に陥っていることもある。
債務超過のデメリット
債務超過であるということは、保有資産のすべてを売却しても負債が返済できない状態だ。財務の健全性が大きく損なわれている状態でもあり、債務超過になると、次のようなデメリットがある。
・金融機関からの融資が受けにくくなる
・借入金の返済を早められる恐れがある
・取引先からの信用が低下し、取引が打ち切られる恐れがある
もともと財務状況がよくない中で、上記のようなことが起きると、たちまち運転資金がショートしてしまうだろう。このうち、融資を断られるパターンにはどのようなものがあるかを見ていこう。
経営体質の改善が見込めず、融資を断られる
債務超過が一時的なものだったり、債務超過ではあっても直近の決算で十分な利益を上げていたりすれば、新たな融資を受けられる可能性もある。
ただ、債務超過を脱するには、資産を増やして負債を減らすしかない。そのためには、経営体質を改善することが必須だ。融資の申し込みにあたって提出する経営改善計画書で、しっかりと改善に至る道筋を示せなければ、融資を断られるだろう。
流動負債が多いため、融資を断られる
債務超過は、負債が資産を上回る状態だが、負債の内容も融資にかかわってくる。負債といっても、大きく2種類に分けられる。
・流動負債……1年以内に支払い期限が到来する負債
・固定負債……支払い期限が1年を超える負債
このうち、流動負債が多ければ、短期間で多額の返済が迫られることになるため、金融機関からの評価も下がり、よりいっそう融資を受けにくくなる。
一方で、不動産など借入金を上回るだけの資産を担保として提供できる場合や、保証人に十分な返済能力がある場合は、融資を受けられるかもしれない。そうでなければ、融資を受けることは難しいだろう。