本記事は、野原亮氏の著書『貯金がなくても資産を増やせる「0円投資」』(日本実業出版社)の中から一部を抜粋・編集しています。

通帳と電卓お金の管理イメージ
(画像=琢也 栂/stock.adobe.com)

投資を始める前にこれだけはやってほしいこと

家計をザックリ把握しておこう

あなたがどのような職業で、どのように稼いでいたとしても、家計におけるお金のしくみは変わりません。「収入−支出=貯蓄」です。

「収入」「支出」「貯蓄」──これら3つのカタマリをそれぞれザックリ把握しておくだけで、家計の維持に役立つのです。

そのために、最低限イメージしておいていただきたいことがいくつかあります。

  • 将来自分がどういう生活をしたいか→将来の生活スタイルと、それによる生活水準・生活費をイメージする
  • 将来の収入はどれくらいあるのか→年金など、将来の見込み収入を把握する
  • 将来の貯蓄はどれくらい必要か→年金だけでは足りない生活費を補うために、いままで貯めてきたお金を、どれくらい取り崩していくかを把握する

これらをまとめると、将来に向かってどれくらいのお金を貯めておく必要があるのかが具体的になり、いまから始める貯蓄計画がよりハッキリわかるようになってきます。このような人生とお金の計画表を「ライフプラン」といいますが、細かくなくても大丈夫です。全体像がなんとなくわかるようにしておきましょう。

とてもザックリとしたライフプランになりますが、ひとつ事例をご紹介します。現在30歳で65歳定年、定年後の生活費は月30万円、年金は毎月15万円、100歳で亡くなると仮定した場合に、総額いくらくらいを、定年までの65歳までに貯めておけばいいのかという目安です。

  • 定年後の余命……寿命100歳−定年65歳=35年
  • 定年後の生活費……35年×12カ月×生活費30万円=1億2,600万円……(1)
  • 支給される年金……毎月15万円×12カ月×35年=6,300万円……(2)
  • 定年までに貯めておくべき金額……(1)−(2)=6,300万円……(3)

(3)を、30歳から定年65歳までの35年間で貯めるとしたら、毎月の積み立て額はおよそ次のようになります。

  • 利回り0%→毎月15万円
  • 利回り1%→毎月13万円
  • 利回り3%→毎月8.6万円
  • 利回り5%→毎月5.7万円

いまから毎月いくらくらい貯めていけばいいかの目安を簡単に計算すると、このようなイメージになります。20代・30代など、比較的リスクをとれる時から資産運用を始めておくと、後々だいぶラクになりそうだというイメージをもっていただけましたでしょうか。

将来、どんな生活を送りたいかをイメージしてみよう

将来、必要なお金を把握するためには、現状の生活水準を基準に、将来どれくらいの生活水準で暮らしていきたいかを決めることから始めます。

「そんなのわかんないよ」という方もいらっしゃるかもしれませんが、これをひとまず決めておかないと、具体的な行動に移す目標が決まらないのです。

目標が決まらないといくら足りないのか、いくら貯めなければいけないのかもわかりません。ザックリで構いませんので決めてしまいましょう。

正確なシミュレーションが必要というよりも、資産運用を始めるなど、行動に移すきっかけとなるためです。イメージが可視化できるようにしておきましょう。

生命保険文化センターによる、2019年の「生活保障に関する調査」によれば、夫婦2人で老後生活を送る上で必要と考えられている老後の最低日常生活費は、月額で平均約22万円となっています。

必要だと考える生活費の分布を多い順からみてみると

20万~25万円未満 29.4%
30万~40万円未満 17.0%
25万~30万円未満 13.1%

となっており、20万円以上あればなんとかなると考えている方が多いようです。

将来の生活イメージをベースにして、老後必要な費用を把握しておくことも一案です。

未来に足りない分以上のお金を貯める計画を立てよう

以上のプロセスを経ることで、イメージした未来の生活に対して、どれくらいの金額を貯めていけばいいのかが大体わかります。

ただし、親や自分たち家族の介護などが絡んでくれば、あっという間に家計の赤字が膨らんでしまいます。ギリギリの状態を目指すのではなく、ある程度余裕をもった貯蓄計画を立てましょう。0円投資には、ちょっとした老後資産の上乗せ効果も期待することができます。

続けられる人になるための37の「やめる」
野原 亮(のはら・りょう)
現東証1部上場の証券会社に入社後、個人営業・株式ディーラーとして従事。3年目に新人教育担当主任として3名の営業指導にあたる。口座残高が当初20万円のお客様が2,000万円になったことも。その後、営業マーケティング会社に転職。生涯担当顧客は1,000名超。
2016年に確定拠出年金専門のファイナンシャルプランナーとして開業、2017年に確定拠出年金創造機構の代表就任。法人への企業型確定拠出年金制度の導入を中心に、個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)制度の普及にも努めている。
「人生有限、貯蓄無限」と考え、生活スキルとしての生きたお金の貯めかたを得意としている。

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