本記事は、伊藤智洋氏の著書『弱者でも勝ち続ける「株」投資術』(日本実業出版社)の中から一部を抜粋・編集しています。

Statistic graph stock market data and finance indicator analysis
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勢いの強い動き(大陽線、大陰線)が出る8つのパターン

結論として提案する売買のやり方は、次の(1)、(2)、(3)となります

(1)シナリオに則った長期の仕掛け(戦略)を基本とする

ここで想定している長期の仕掛けは、年間の最安値、またはその付近だと推測できる場所で押し目買いを入れる、年間の最高値、またはその付近だと推測できる場所で戻り売りを入れて、なるべく年間の変動幅に近い値幅の利益を得ることを目的とした取引です。

価格が十分に上昇してから、買いを入れたのでは、利益幅が限られるし、損切りにすべき場所もあいまいになります。

そのため、ここで想定している長期の仕掛けを入れる場所は、下げていた価格が反発を開始する可能性のある地点で、まだ十分に押し目底になるということがわからない時点での仕掛けになります。

このように、下げている場面で、価格が反転上昇して、上げ方向に流れができることを見越して仕掛けることを逆張りと呼びます。

一方で、一定の流れができているとわかる値動きがあらわれている場面で、その流れに沿って仕掛けることを順張りと呼びます。

本書での長期の仕掛けは、逆張りになります。

(2)長期の仕掛け(逆張り)のリスクに対応するために、必要に応じて保険のための短期の仕掛けを行なう

逆張りは、まだその方向の流れを確認できないままの仕掛けになるので、当然、順張りよりもリスクがあって、底値、天井だと想定した場所がそうならず、何度も騙される可能性があります。現状のトレード環境では、以前よりも逆張りに対するリスクの度合いが大きくなりすぎています。長期の仕掛けが何度も損切りを繰り返してしまうリスクが高くなることが想定されるため、それに対応する方策が必要です。それが順張りとなる短期の仕掛け(戦術)を入れておくことです。

(3)長期の仕掛けが成立して、実際に利益の出ている状態となった場合に、保険の意味で短期的に両建ての反対売買の仕掛けを行なう

(1)、(2)、(3)を行なうためには、長期・短期どちらの仕掛けであっても、値幅の大きな動きがあらわれる日をあらかじめ想定できると、その動きを基準にして仕掛けることができ、次の展開に余裕を持って備えることができます。

大陽線、大陰線をつけるということは、陰線、陽線の実体が(目安として)500円幅に近い、または500円幅以上の振れ幅になっているということです。

通常、500円の振れ幅は、下げやすい時間帯、上げやすい時間帯の一度の振れで到達できる値幅ではありません。一度の大きな振れは、だいたい200円幅、300円幅程度が目安になります。

日経平均株価は、極端な値動きになる場合、午前中に500円幅の下げ場面になることがあります。その場合、寄り付き後、9時30分頃までの時間帯で200~300円幅の下げを経過した後、いったん下げの流れが終息して、10時以降、再び新たな下げ場面へ入り、全体が500円幅の下げになっています(午前中、一定のリズムで下げ続けているように見える動きもありますが、9時以降、10時以降の2度の下げやすい時間帯を経過して、どちらも下げていることで、500円幅の動きがあらわれているという見方です)。

日中の寄り付き後の変動幅の大きくなりやすい時間帯でも、一度の急激な動きだけで、大陽線、大陰線をつける動きになることはあまりありません(注目されている経済指標等の発表で、急上昇、急下降する場面だけ、30分もたたずに500円幅の動きになってしまうことが、たまにあります)。

大陽線(大陰線)をつける日の値動きは、上げやすい(下げやすい)時間帯で積極的な上昇(下降)を経過して、下げやすい(上げやすい)時間帯で価格が下げず(上げず)、次の上げやすい(下げやすい)時間帯で、さらに上げ幅(下げ幅)を拡大するため、長く上昇(下降)の流れを継続する動きになります。

そうした大陽線、大陰線があらわれる可能性がある場面は、以下の8つのパターンが挙げられます。

大陽線、大陰線になるということは、1取引日中、長く一定方向へ動く必要があるので、日足の流れがそうした展開へ入りやすい状況になっていることがポイントです。

その1 もちあい局面

弱者でも勝ち続ける「株」投資術
(画像=弱者でも勝ち続ける「株」投資術)

図表5-22のようなもちあい局面では、上下どちらへも行きやすい場所がはっきりしています。また、レンジ下限から上限まで、すぐに到達してしまうため、途中で反対方向への圧力が加わりにくくなります。

そのため、もちあい局面では、1取引日の変動幅が大きくなりやすい傾向があります(たとえ大陰線、大陽線にならなくても、1取引日の高値から安値までの振れ幅が大きくなりやすい)。

1,000円幅程度か、それ以上の値幅のレンジを形成している場面では、レンジ上限、下限へ到達する場面や反転する場面で、大陽線、大陰線をつけやすくなります。

また、中心地を通過するときも、振れ幅が大きくなりやすい傾向があります。

その2 上値、下値を切り上げるパターンとその逆のパターン

弱者でも勝ち続ける「株」投資術
(画像=弱者でも勝ち続ける「株」投資術)

図表5-23の上のような上値、下値を切り上げるパターンは、短期的に上昇の流れができたことを示唆します。そのため、上値、下値を切り上げるパターンをつくる場面で、以前の戻り高値を超える日は、大陽線をつける動きになりやすいといえます。

逆に上値、下値を切り下げるパターンは、短期的に下降の流れができたことを示唆します。そのため、上値、下値を切り下げるパターンをつくる場面で、以前の押し目を割れる日は大陰線をつける動きになりやすいといえます。

その3 上昇、下降の最終段階

その2と似ていますが、上昇の流れを継続している場面で、最終段階の上げ局面へ入るとき、一気に行けるところまで上昇する動きになりやすく、大陽線をつける展開が目立ちます。

同じように、下降の流れの最終段階では、大陰線をつけていることが多くなっています。

以前は、上ヒゲ、下ヒゲの長い線になるケースが多かったのですが、現在の取引環境では、そのまま大陽線、大陰線で引けている動きが目立ちます。

さらに、上昇、下降の最終段階で大陽線、大陰線をつけた後、価格が反転する場面では、反対方向へ大陰線、大陽線をつける動きがあります。

以前よりも上ヒゲ、下ヒゲにならないと書きましたが、その分、翌取引日に反動がきて、翌取引日が寄り付き後、すぐに反対方向への勢いの強い動きになることがあります。

その4 陽線、大陰線の翌取引日の反転

大陽線、大陰線は、その日のうちに、行けるところまで一気に向かう動きになるため、その動きが一時的な調整や、もちあいの途中の動きに過ぎないなら、翌取引日が反転する可能性が高くなります。

弱者でも勝ち続ける「株」投資術
(画像=弱者でも勝ち続ける「株」投資術)
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図表5-24は、2022年8月17日に戻り高値をつけた場面の225先物ミニ期近日足、図表5-25は8月17日の日中と夜間の5分足です。

日中は、寄り付き後、すぐに上昇を開始して、引けまで、上げの流れを継続して、日中だけで250円幅程度の上げ場面となりました。

午前中、一気に上昇して、上値を抑えられる動きになりましたが、11時過ぎに押し目をつけて、再上昇を開始した後は、緩やかに一本調子の上昇を引けまで継続しています。

夜間に入り、寄り付き値が下放れて始まって、そのまま、すぐに下げの流れをつくり、NYダウの発会前の22時頃には、日中に上げた分をすべて押し戻されています。

8月17日は、夜間取引がなければ、日中に上値を抑えられて、上ヒゲをつける展開になった可能性があります。

8月17日は大陽線というほどの上げ場面ではありませんが、このような、上昇、下降の最終段階では、戻り高値、押し目底をつける日や、その手前で、行けるだけ行ってしまう流れとなって、大陽線、大陰線をつけることがあります。

その5 柄と値幅の長い上昇、下降の場面

日柄と値幅の長い上昇、下降場面では、大陽線、大陰線が連続してあらわれます。

複数の大陽線、大陰線があらわれることで、その方向へ明確なトレンドができます。大陽線、大陰線があらわれて、一気に値幅を稼ぐことで、目標とする場所へ到達できる可能性が大きくなります。

一定の流れができている場合、以前のように1ヵ月以上も長くだらだらと上昇し続ける展開にはなりにくい環境へと変わっています。日柄が短いのですから、上昇する場面での陽線の出現数、下降する場面での陰線の出現数は限られてきます。

このことは、つまり、上昇局面では、陽線引けした日の上昇幅、下降局面では、陰線引けした日の下降幅の大きさが、その流れの目指すべき場所の目安になるということです。

上昇の流れができていて、3取引日連続して陽線があらわれているにもかかわらず、全体の上げ幅が小さいなら、上げ余地が限られるか、まだ積極的な上げ場面へ入っていない(いったん値幅の大きな調整が待っている)という可能性を考えておく必要が出てきます。

その6 陽線、小陰線が連続した後

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(画像=弱者でも勝ち続ける「株」投資術)

一気に上げ幅を拡大した後、小陽線が連続して、徐々に上昇するケースがあります(図表5-26)。

このような動きは、小陽線が出現した地点から上値の重い状況に入っているので、反転下降するとき、数日の小陽線で上昇した分を1取引日で一気に下げる動きになります(ただし、この大陰線は、その日に目先の下げ余地を一気に吸収する動きになるので、翌取引日が下値堅く推移することが多くなっています)。

下げ方向でも同様です。急な下げが緩やかな下げに変化した後、価格が反転上昇する場面では、緩やかな下げ分のすべてを、1取引日で戻す動きがあらわれることが多くなっています。

その7 勢いの強い動きの途中の数日の調整場面の後

上昇途中で数日の調整場面になる場合があります。このときの調整期間の目安は、3~5取引日です。

勢いの強い上昇途中の調整なら、5取引日以内に高値を更新する動きがあらわれる傾向があります。

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反転後、3取引日で、下げ、上げ、下げとなって、上値、下値を切り下げて弱気の流れを示した後、再上昇を開始する場面では、弱気の流れを払拭するため、一気に戻り高値を超える上げ場面があらわれ、大陽線が出やすくなります(図表5-27)。

なお、5取引日目までに、戻り高値を超える上げがあらわれなければ、その高値が強い抵抗になって、勢いの強い上昇が終焉している可能性が大きくなります。

下降途中で数日の調整場面になる場合は、上記と逆の動きとなります。

その8 V字底、逆V字天井

底値、戻り高値をつける場面では、V字底、逆V字天井と呼ばれる値動きがあらわれることがあります。

一気に下げられる場所まで下げて、すぐに値を戻すパターン、一気に上げられる場所まで上げ切って、すぐに下降を開始するパターンです。

天井、底値をつける場面では、急激な上昇、下降の動きとなるので、戻り高値前後、底値前後の足型が大陽線、大陰線をつけるか、または、日経平均株価などの指数の場合(先物はギャップを開ける展開になりにくい)、大きなギャップを開ける動きになります。

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図表5-28は、2022年の6月に戻り高値をつけた場面でのNYダウ日足です。

これを見ると、6月1日に戻り高値をつけた後、すぐに下げず、翌6月2日の安値3万2,509ドルが押し目になって、横ばいに推移しています。

価格が戻り高値を更新できずに5営業日を経過し、6営業日目となる6月9日、下降を開始して、3万2,509ドルを割れて、一気に下げ幅を拡大して、大陰線をつけています。

逆V字天井とは言えませんが、下降の初期段階で弱気を確認する過程で、大陰線をつけています。

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図表5-29は、2022年10月に押し目底をつけた場面でのNYダウ日足です。

こちらはV字底というわけではありませんが、押し目底をつけた日の最初の上げ場面で大陽線をつけています。

このように、戻り高値、押し目をつけた後の早い段階での下降、上昇場面では、大陰線、大陽線をつけやすい傾向があります。

弱者でも勝ち続ける「株」投資術
伊藤智洋(いとう・としひろ)
証券会社、商品先物調査会社のテクニカルアナリストを経て、1996年に投資情報サービス設立。株や商品先物への投資活動を通じて、相場予測の有効性についての記事を執筆。株探の「伊藤智洋が読む 日経平均株価・短期シナリオ」などで、株価、商品、為替の市況を解説するほか、シグマベイスキャピタルのeラーニング講座「テクニカル・ファンダメンタル コンビネーション分析コース」講師を担当。
『チャートの救急箱』(投資レーダー社)、『投資家のための予想&売買の仕方マニュアル』(同友館)、『株価チャートの実戦心理学』(東洋経済新報社)、『テクニカル指標の読み方・使い方』『株は1年に2回だけ売買する人がいちばん儲かる』『ローソク足チャート究極の読み方・使い方』(以上、日本実業出版社)など著書多数。

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