事業運営を重視するあまり、自分自身や家族の引退時の退職金や老後資金にまで気が回らない小規模企業の経営者や個人事業主は少なくない。社会は人生100年時代を迎えているとはいえ、事業経営者にもいつかはリタイアする時期がやってくる。その際の退職金は、経営者自身で準備しておく必要があるだろう。

そこで本記事では、小規模企業経営者や個人事業主のための退職金制度である小規模企業共済について解説する。

目次

  1. 小規模企業共済とは?
    1. どこで入る?
  2. 小規模企業共済に加入するメリット
    1. 退職金を準備できる
    2. 節税に役立つ
    3. 事業資金の貸付けを受けられる
  3. 小規模企業共済に加入するデメリット
    1. 掛け捨て・元本割れリスクがある
    2. 加入資格がある
  4. 小規模企業共済は危ないか?
  5. 小規模企業共済を検討するなら知っておくべき注意点
  6. 小規模企業共済の節税効果
    1. 他の制度との組み合わせで節税効果を高める方法も
  7. 小規模企業共済をうまく活用しよう
小規模企業共済とは? 節税効果や加入資格、手続きなどを簡単に解説
(画像=color/stock.adobe.com)

小規模企業共済とは?

小規模企業共済とは、簡単に説明すると小規模企業の経営者および役員、個人事業主などが廃業や退職後の生活資金などのために積み立てる「退職金制度」。小規模企業共済法(昭和40年法律第102号)に基づく共済制度であり、国が全額出資している独立行政法人中小企業基盤整備機構(以下、中小機構)が運営している。

詳しくは後述するが、積み立てる掛金全額が所得控除の対象となったり積立金から事業資金の借り入れができたりするなど小規模企業の経営者にメリットのある制度内容だ。ただし経営者が個人で加入する仕組みとなっており、法人として加入するわけではないことには注意したい。掛金は、個人の預金口座から自動振替される。

ちなみに掛金は、月額で最低1,000円~最高7万円まで。この範囲内で500円単位の金額を自分で選択できる。加入後の増額や減額も可能だ。納付自体は、月払い以外に半年払いや年払い、前もって数ヵ月あるいは数年分をまとめて支払う前納もできる。前納月数1ヵ月あたり1,000分の0.9とわずかだが、割引に相当する前納減額金を受けられる。

どこで入る?

小規模企業共済の運営は、中小機構が行っているが、加入申し込み手続きは商工会、商工会議所または金融機関などで取り扱っている。とはいえ、ゆうちょ銀行やネット専業銀行など小規模企業共済の取り扱いをしていない金融機関もあるため注意したい。まずは、最寄りの商工会や商工会議所、取引のある金融機関などに確認されることをおすすめする。