本記事は、末岡由紀氏の著書『お金の引力』(サンマーク出版)の中から一部を抜粋・編集しています。
年収450万円になるための仕事の見直しステップ
お金を得る3つの方法を知っているか?
ここからはしばらく、仕事との向き合い方について話をするよ。
君にまず知っておいてもらいたいのは、お金を得る方法は主に3つあるということ。それは①労働、②起業、③投資だ。
労働はその名の通り、自分の頭と体を使って働くことだ。
社員として、アルバイトとして、フリーランスとしてなど、その形態はさまざまだけれど、基本的には自分の労働時間と引き換えにお金を得る。
社会の大半の人はこの方法でお金を稼いでいる。もっとも手っ取り早くお金を得られる方法でもある。
起業とは、新たに事業を起こすこと。
「新しい会社を作る」とイメージするとわかりやすいだろう。
自分1人で事業を続けて利益を生み出す人もいるが、多くは社員を雇い、社員に働いてもらうことで利益を生み出している。
会社を起こすのも存続させるのも相当な労力がいる。
でもうまくいけば、社員として労働するよりも何倍ものお金を得られる。
事業が軌道に乗れば、実際の労働時間はごくわずかでも多額の報酬を受け取れるだろう。ただし、もちろん事業がうまくいく確率は100%ではない。成功した場合の報酬が高い分、失敗したときに負わなければならないお金も多額になる。
投資とは、今後価値が上がりそうな株や土地などにお金を出すこと。
株も土地も企業の業績や世の中の情勢などによって値段が変わっていく。
たとえばマックで有名なアップル社の株価は、2018年8月10日では51.88USドルだったけれど、2022年8月12日には172.10USドルと3倍以上高くなっている。
つまりアップル社の株を2018年8月に買い、2022年8月に売った人は、ざっくりと計算しただけでも元のお金の3倍以上が手元に入ってくることになるんだ。このように利益が出そうなものにお金を出して、その利益を得ることを投資という。
ただし株も土地も含めて、すべてのものは必ず値上がりするとは限らない。
価格が上がりそうと見込んで買った株の価格が、実際には下がってしまい大損する場合もある。投資には常にリスクが伴うんだ。
ただしリスクをできるだけ回避する策もある。この策をしっかりとって実行すれば利益を得られる確率は高くなる。
投資が労働と大きく違うのは、自分の代わりにお金が働いてくれるという点だ。
労働は基本的に自分の時間と体を使って動き続ける必要がある。
でも投資は、一旦投資という作業をすれば、基本的にはそれにかかりきりになることはない。一定の時間は放っておくことができるんだ。
- お金は「①労働、②起業、③投資」で得られると知る
年収450万円以下の君がやるべきことは投資でも起業でもない!
さて、君の年収が現在450万円以下なら、今とにかく必死に取り組むべきなのは「労働」だ。
こういうと君はある意味ガッカリするかもしれないね。
「労働ならすでに十分やっている、それでもお金が増えない……」などと思うかもしれない。
しかも最近ちまたには、「お金と自由を手に入れたいなら投資をせよ」といった情報が溢れている。「おすすめはNISAだ」「iDeCoだ」などと金融商品の名が躍っている。
確かに投資はお金を増やす大事な方法のひとつだ。でも、年収450万円以下の君にとって、投資をやる時機は今じゃない。起業についても然りだ。
今やるべきなのは、今の仕事をとにかく一生懸命やることなんだ。
そもそも君は今の仕事にどれだけ真剣に取り組んでいるだろうか。
がむしゃらにやっているだろうか。どうしたらより効率よく作業できるか、どうしたらもっと利益を出せるだろうか、どうしたらもっとお客様に喜んでもらえるだろうかなどと、日々創意工夫をして仕事に向かっているだろうか。
今、君に必要なのはそういう仕事のやり方、姿勢なんだ。
なぜならそれが、いずれは自分の軸になるから。
自分の軸というのは、「自分はこれでお金を稼げる」という確かな手応えを持てるような仕事のこと。この仕事なら自分に任せてほしい、この仕事なら自分の右の出る者はいないと自信を持てるような仕事のことだ。
仕事の種類はなんでもいい。営業、接客、事務、開発、研究……。世の中にはさまざまな仕事があって、抱えている仕事は人それぞれだろう。
もしかしたら今やっている仕事は、自分が本当にやりたい仕事ではない、本当にやりたい仕事はもっと別にあると思っているかもしれない。
大事なのはたとえそうであっても、まずは今目の前の仕事に真剣に取り組むこと。誰にも負けないという域に達するまでやり切ること。
目の前の仕事の達人になること。
沸騰するような熱い気持ちで仕事に向き合うのと、ぬるい気持ちで仕事に向き合うのとでは、今の給与は同じかもしれないが、「人生の給与」は大きく変わってくるだろう。本当にやりたい仕事が他にあるなら、目の前の仕事に取り組むことは無駄なように思えるかもしれない。遠回りのように感じるかもしれない。
しかし、それでも今の仕事をやり切る。これからの君の人生を考えたとき、これはスゴく大事なことなんだ。
繰り返すけれど、そのやり切った仕事が「自分の軸」に繫がる。
今の仕事がそのまま君の軸になる場合もあるだろう。
あるいは今の仕事をやり切った後に、また別の道に進む場合もあるだろう。
ひとつの仕事をやり切ると、そこに達した者だけが見える景色がある。もし君に他にやりたい仕事があるなら、この景色が見えてから考えればいい。
ひとつの仕事をやり抜くと、次に進むべき道が見えてくる。その道を行った先に「自分の軸」を得られる場合もある。
ではなぜ、「自分の軸」が必要なのか。
それは「自分の軸」がないと、いつまでもどこかフラフラした感じになってしまうんだ。自分には何ができるのか、自分は何がやりたいのかがわからないまま、行き当たりばったりの仕事をこなしてしまうことになる。
30代、40代になってもなお、自分は何をすれば良いのか迷い続けることにもなるだろう。
自分のなかに確かな手応えがない状態というのは、想像以上につらいものだよ。
じつは僕にもそういう時期があった。僕は20代で不動産の会社に入社した。数年後に退社した後、「自分の軸」が見極められずに迷ってしまい、手当たり次第にいろいろな仕事をした。塾でアルバイトしたり、豆腐屋で早朝から働いたり、公務員になろうと勉強したり……。迷った末に、結局入ったのは不動産関連の会社だった。そこで、沸騰するような熱い気持ちで仕事をした。
そしてその流れで年収1億円以上の自分になれた。
不動産業界に戻れたのは、入社した会社で営業をやり切ったからだと思っている。僕はその会社で営業トップの成績を上げた。
会社内での営業なら、他の誰にも負けないという実力を身につけた。それがあったからこそ、やっぱり自分は不動産業界に戻ろうと決められた。そして不動産業界で働き続けるうちに、不動産の売買なら誰にも負けないという「自分の軸」を得られた。
つまりひとつでもやり切った仕事があると、それは将来の羅針盤にもなるんだ。
仕事をやり切ったという経験は、必ず未来の君を助ける。だから今やるべきことは、とにかく目の前の仕事をがむしゃらにやることなんだ。
- 目の前の仕事をやり切り、自分の軸を作る