本記事は、伊庭正康氏の著書『即効性バツグン、あらゆる場面で使える 営業テクニック図鑑』(日本実業出版社)の中から一部を抜粋・編集しています。
考え方
成果を出すための「営業力の方程式」
「足で稼ぐのみ」では、トップセールスにはなれない
業は、「足で稼げ」「量をこなせ」と言われがちですが、そうとも言い切れません。あなたの周りのトップセールスにも、それほど多くの訪問をしているわけではない人はいませんか?
なぜ、訪問数が多くなくても成果が出るのかは、「はじめに」でも紹介した「営業力の方程式」を知るとスッキリします。
- 営業力(販売力)= 行動力 × 実力 × 営業基盤
営業を始めたばかりの頃は、「行動力」(商談量)で勝負することになります。スキルも営業基盤もないからです。いうなれば「足(量)で稼ぐステージ」。最初は大変かもしれませんが、最初は「量」だと割り切ってください。
しかし、商談量を増やすにも限界があります。商談量が増えればその分、お客様の対応にも時間がとられるようになるからです。そこで次に勝負どころとなるのが、「実力」(商談スキル)です。限られた商談からの契約率を高める「効率のステージ」に移行します。
さらに次のステージが待っています。それが「営業基盤」です。営業基盤を持っていれば、多くのリピートをいただけますし、紹介もいただけるようになります。私は、「お客様のパートナーになるステージ」と呼んでいます。
もちろん、業種にもよりますが、多くのトップセールスは、このステージにいると考えて間違いないでしょう。
- ONE POINT
- 「量」で稼ぐのがしんどいのは、営業の初期段階だけと割り切ろう。
- 営業の経験が上がるにつれ、次第に対応に追われ、時間がなくなるはず。そうなったら「量」での勝負から「効率」を高めるゲームへ移ろう。
- トップセールスは、「売れる顧客基盤」をつくるための取り組みに注力する。あなたも、担当するお客様の信頼を勝ち取る努力をしよう。
考え方
契約率を高める「商談の流れ」
「商品を売る」発想では、営業は務まらない
営業は「量」から「効率」に転換することが重要だとお伝えしました。「効率」を高めるためには、特別な能力が必要と思われたかもしれませんが、実はそんなに大げさなことではありません。まず、押さえておくべきは、契約率を高める「商談の流れ」を知ることです。それがこれ。
- ラポール ⇨ ヒアリング ⇨ プレゼン ⇨ クロージング
会社や業種によって、多少呼び方が違うことはあるかもしれませんが、商談は、この流れで行うのがセオリーです。
「ラポール」は商談の最初のイントロです。ヒアリングでいろいろと教えていただくためには、話しやすい空気をつくることが大事。打ち解けるための「ほんの少しの雑談」だと考えてください。
次が「ヒアリング」です。お客様の状況や課題を伺います。ここで重要となるのは「御用」や「予定」を聞くだけでなく、お客様の「お困りごと」または「願望」を伺うことです。「本当はこうしたいけど……」とおっしゃっていただくためのヒアリングを展開します。
次が「プレゼン」です。商品の案内ではなく、あなたが担当する商品やサービスを使うことで、ヒアリングで伺ったお客様の「お困りごと」「願望」を解決できることを伝えます。
最後が「クロージング」です。「契約書をいただいてもよろしいですか?」と締めくくります。
即決でラポールからクロージングまでもっていく業種もありますし、数カ月かけてじっくり行う業種もありますが、大きくはこの流れになります。
- ONE POINT
- 商談時、どのステップにいるのかを把握しながら進めよう。
- 商談はラポールからクロージングまで一方通行。お客様が途中でステップを戻すような会話をされても流れを止めず、あとで戻す。
- 課題解決型の提案は、ヒアリングが重要。
考え方
信頼を得るための「アフターフォロー」
「しょせん、営業だから……」と思われていないか?
営業は、契約をいただくことがゴールではありません。信頼を得るにはアフターフォローが不可欠です。「商品は届いたが、使い方がわからない」「想像と違った」「どこに聞けばいいのかな……」。このように、お客様の商品に対する「熱量」(お困りごと)は、購入後のほうが高まることが多いからです。
しかし、契約までは熱心だったのに、その後のフォローが不十分な営業は少なくありません。「しょせん、売るだけの営業だね」とお客様から思われたら、リピートも紹介もいただけなくなるので、こういったことは絶対に避けなければなりません。
まず、お客様からの信頼を得るためのセオリーを押さえておきましょう。
- 契約前の熱量 < 納品後の熱量 ⇨ 信頼される営業
でも、「忙しいのでフォローをする時間がない」と思われたかもしれません。だとしたら、フォロー不足だから忙しくなっている、とも考えられます。「リピートでいただく受注」のほうが、「自らが開拓する受注」よりも、コスト(手間)を6分の1に抑えられるとの研究もあります。だとしたら、リピート率を高める、または、紹介数を増やす営業をしたほうが、短時間で結果を出せるというわけです。
私自身もそのことを実体験で感じています。前職の会社で、残業することなく、通期全国1位の表彰を2年連続で受賞する機会があったのですが、思えば恵まれた「顧客基盤」のおかげでした。
アフターフォローで「気にかけてくれてありがとうね」「そこまでやってくれるんだ、助かる」と思っていただく行動を心がけることが、恵まれた顧客基盤をつくるための、賢い選択なのです。
- ONE POINT
- 納品後、「いつ」「どんな」お困りごとが起こるかを考える。
- お困りごとに対して、どんなアフターフォローをするのかを決める。
- アフターフォローすることを決めたら、それを実行に移すために、予定に入れる。
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