本記事は、伊庭正康氏の著書『即効性バツグン、あらゆる場面で使える 営業テクニック図鑑』(日本実業出版社)の中から一部を抜粋・編集しています。
ヒアリング
「ヒアリングの4ステップ」でニーズをつくり出す
ニーズは「ある」ものばかりではない
ヒアリングは、営業の中でも特に重要なパートです。ヒアリング次第で契約率が大きく変わるからです。ゆえに、以下に挙げる「ヒアリングの4ステップ」を、必ず覚えておきましょう。
- Step1 「状況」を聞く
Step2 「問題」を聞く
Step3 「リスク」を聞く
Step4 「提案の必要性」の確認をとる
このステップを知れば、最初はなかった「提案のチャンス」をつくれますので、絶対に覚えておきましょう。
▍「状況」を聞く
まずは、「利用状況」と「ニーズの有無」を確認します。
- 「今まで、同様の商品・サービスを利用したことがあるか?」
- 「数多くの中から、それを選択された背景は?」
- 「どれぐらいの頻度で活用するのか?」
- 「感想は?」
- 「今後の予定は?」
- 「提案のチャンスをいただけるのか?」
▍「問題」を聞く
次に、ちょっとした「不安や不便」を教えてもらいます。
- 「今後に向けて、不安に感じることはないか?」
- 「不便に感じることがあれば、お聞かせいただけないか?」
ここが商談の山場です。「ちょっとした不安」を教えてもらうことで、提案のきっかけをつかめるからです。
▍「リスク」を聞く
その問題が解消されなければ、どうなるのかを尋ねるパート。
「もし解消されなければ、どんなことが想定されるか?」を尋ねます。聞きにくい質問ですが、お客様に「このままではまずい」と思っていただける効果があります。
▍「提案の必要性」の確認をとる
「●●(課題)を解消する方法を提案させてもらえないか?」
と、最後に提案の必要性を確認します。
- ONE POINT
- ヒアリングでお客様の隠れたニーズを引き出す。
- 「ヒアリングの4ステップ」次第で契約率が大きく変わる。
ヒアリング
「お困りごとは?」と聞かずにニーズを引き出す
提案のチャンスをつかむ「聞くべき流れ」
「ヒアリングの4ステップ」のうち、ここでは最初の状況を聞くパートを解説しましょう。いきなり、お客様に「困っていることはありますか?」「今後の予定はありますか?」と聞いても、良い返答は得られないでしょう。聞くべき流れがあるからです。以下で紹介するような流れでヒアリングをすれば、提案のチャンスを得やすくなります。
- Step1 今まで(現在と過去)の「利用状況」を伺う
Step2 「ギャップ」の確認をする
Step3 「今後のニーズ」を伺う(=提案のチャンス)
実はこの流れは、「答えやすい順」になっています。
「利用状況」については、考えずとも答えられる質問です。しかし、「ギャップ」は考えないと答えられない質問ですし、最後の「今後のニーズ」については、関係ができていない場合、営業には教えたくない質問といっても過言ではないでしょう。
ヒアリングは、先方が答えやすい質問から入るのが鉄則です。あなたのヒアリングがそのようになっているか、確認をしてみてください。
また、質問の仕方も、「いいえ」と返されるような質問ではなく、「はい」「そうだよ」と肯定的な返事をいただける内容がいいでしょう。お客様が話しやすくなります。
- ONE POINT
- ヒアリングはお客様が答えやすい質問から入る。
- 「利用状況」「ギャップ」「今後のニーズ」の順に確認していく。
ヒアリング
「いらない」と言われたら“筋の良い仮説”を投げる
ニーズを引き出す仮説を用意しよう
状況を聞いた際、「今は予定がない」「他社で十分」と言われた場合は、“筋の良い仮説”を投げかけてみてください。商談の流れを変えられます。筋の良い仮説には2つの条件があります。
- (1)7割のお客様が「ないわけではない」と答えるような仮説。
(2)(1)に加えて、あなたの得意な提案に導ける仮説。
具体的に会話で使う場合は、次のような感じになります。
営業:「今は、●●については、万全ということでしょうか?」
先方様:「まあ、そうですね。特に問題はないです」
営業:「そうでしたか。ますます安心でございますね。実は、私のお客様から、よく▲▲と伺うのですが、今後を考えると、そういったことはございませんでしょうか?」
先方様:「そりゃ、ないわけではないですがね……」
営業:「失礼しました。どんなことがあるのでしょうか?」
これで流れが変わりました。
それでも「今は、大丈夫です」と断られるケースもあるでしょう。そんな時、あなたの得意な提案に導けるよう、さらに次のように聞いてみてください。
「教えていただき、ありがとうございます。勉強のために伺ってもよろしいでしょうか? さらに“もっと、こうなったら”と思うことなどがあれば、ぜひお聞かせいただければありがたいのですが、いかがでしょうか?」
また、次のような切り返しも有効です。「バカな質問をしてもよろしいでしょうか? ご満足度を10点満点でたとえるなら、何点くらいでしょうか?」
ここで挙げたような、“筋の良い仮説”を提示して、ヒアリングの流れを変えてみましょう。ぜひトライしてみてください。
- ONE POINT
- ニーズを引き出すための仮説を用意しておこう。
- 「今は良くても、今後を考えると……」と未来に向けた仮説は、どの業界の営業でも使いやすい。
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