本記事は、伊庭正康氏の著書『即効性バツグン、あらゆる場面で使える 営業テクニック図鑑』(日本実業出版社)の中から一部を抜粋・編集しています。

クエスチョン
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テレアポ
「キラークエスチョン」で形勢を逆転させる

全く関心を示さないお客様へ効果的なひとこと

テレアポで「ガチャ切り」を切り抜けたとしても、まだ安心はできません。「関心」を持ってもらっている状況ではないからです。そこで、とっておきの方法を紹介しましょう。お客様に「まぁ、言われてみれば……」と返答してもらう質問を用意しておくのです。これだけで、その後も会話が自然な流れで続きます。この質問がお客様に「関心」を持っていただく「キラークエスチョン」となるからです。こんな感じでやってみましょう。

お客様:「決まった業者にお願いしているので、結構です」

営業:「そうでございましたか。そうとは知らずに、失礼をいたしました。お付き合いが長いのですか?」

お客様:「まあ、そうです」

営業:「では、安心でございますね」

お客様:「そうですね」

営業:「だからこそ、ぜひとも伺いたいのですがよろしいでしょうか?」

お客様:「え、はい……」

営業:「ということは、●●に関しては、将来を見据えた上でも、万全ということでございますか?」

お客様:「えー、そう言われると、何とも言えないかな……」

(形勢逆転の瞬間)

営業:「失礼をいたしました。どのような不安が、あるのでしょうか?」

いかがでしょう? このように、お客様が「言われてみれば……」と返事をするような質問をこちらからすることで、形勢が逆転するのです。

この場合は、「●●に関しては、将来を見据えた上でも、万全ということでございますか?」が、それに該当します。

ほかにも、「私どものお客様もおっしゃるのですが、●●といったことはございませんか?」のようなトークも効果的です。対話のチャンスが広がること間違いなしです。

営業テクニック図鑑
『営業テクニック図鑑』から引用
ONE POINT
  • 「●●は万全ということでしょうか?」「●●といったことはございませんか?」 ―― このような言葉が形勢逆転のキラーパスとなる。

テレアポ
思わぬ本音を聞き出す「イエス・セット法」

最初に“小さなYes”をたくさんいただこう

お客様は、なかなか本音を言ってくださらないものです。本音を教えてほしい時は、小さな“イエス”(「そうです」「はい」)を繰り返しもらう質問から入るといいでしょう。このテクニックのことを「イエス・セット法」といいます。「はい」と繰り返して答えてもらうと、聞き出しにくい質問にも答えてもらえるようになるというものです。

実は、前項の会話でもイエス・セット法を使っていました。改めて確認してみましょう。

イエス・セット法を用いた会話

お客様:「決まった業者にお願いしているので、結構です」

営業:「そうでございましたか。そうとは知らずに、失礼をいたしました。お付き合いが長いのですか?」

※最初の「Yes」をもらう質問

お客様:「まあ、そうです」(Yes

営業:「では、安心でございますね」

※次の「Yes」をもらう質問

お客様:「そうですね」(Yes

営業:「だからこそ、ぜひとも伺いたいのですがよろしいでしょうか?」

※さらなる「Yes」をもらう質問

お客様:「え、はい……」(Yes

営業:「ということは、●●に関しては、将来を見据え上でも、万全ということでございますか?

※核心をつく質問

お客様:「え~。そう言われると、何とも言えないかな……」

これがイエス・セット法の効果です。イエス・セット法は、テレアポだけではなく、商談でも使えるテクニックですので、ぜひ挑戦してみてください。

営業テクニック図鑑
『営業テクニック図鑑』から引用
ONE POINT
  • お客様との会話の冒頭は、「はい」と答えてもらえる質問を多く投げかけよう。
  • お客様から「はい」をたくさんいただいた上で、核心をつく質問に移ると効果的。

テレアポ
魔法の話す速度は「1秒間に6文字」

早口だとアポイントはとりづらくなる

同じスクリプトを使っていても、アポイントがとれる人と、とれない人がいますが、その多くは「話し方」に原因があります。まず、早口は厳禁。同じトーク内容でも、早口だとアポ率は低くなります

アポイントがとれる人の話し方にはある特徴があります。具体的には、次の3点が挙げられます。

  • 早口厳禁。ゆっくり話す(1秒間に6文字の速度)。
  • 口角を上げて、口を大きく開けて話す。
  • 「え~」「あの~」「その~」といったノイズを消す。

では、あなたが「早口」かどうか、チェックしてみましょう。

方法は簡単。次のエクササイズをやってみてください。


Step1 秒針を見て、「ありがとうね」(6文字)を10秒間で10回唱える。

Step2 言い終わった瞬間に、間髪入れずに次のセリフを言う。「お世話になっております。●●商事の■■でございます。どうぞ、よろしくお願い申し上げます」

Step3 「お世話に」以降のセリフを言った時の感覚を確認。
・「遅く感じた」 ⇨ 早口の傾向あり
・「ふつうに感じた」 ⇨ 問題なし
・「早く感じた」 ⇨ ゆっくりの傾向(問題なし)

では、早口の予防法を紹介しましょう。口角を上げ、1音1音を明瞭に、「普段の7割の速度」で伝えるようにしてみてください。これだけで、早口の予防だけでなく、「え~」「あの~」といった言葉のノイズも出にくくなります。

白状しますと、私もこの方法で自分の早口を矯正している1人です。皆さんもぜひ、やってみてください。すぐに効果を感じられることでしょう。

営業テクニック図鑑
『営業テクニック図鑑』から引用
ONE POINT
  • 早口で話すと、アポ率は下がる。早口の自覚があるなら7割の速度を意識しよう。
  • 口角を上げ、笑顔で話すと、明るい声になりやすい(爽やかに)。
  • 口を大きく開けないと、電話口でも声がこもってしまう。
  • ゆっくりと話せば、「え~」「あの~」は消えやすい。
営業テクニック図鑑
伊庭正康
株式会社らしさラボ代表取締役。1991年リクルートグループ入社。リクルートフロムエー、リクルートにて法人営業職として従事。プレイヤー部門とマネージャー部門の両部門で年間全国トップ表彰4回を受賞。累計40回以上の社内表彰を受け、営業部長、(株)フロムエーキャリアの代表取締役を歴任。『できるリーダーは、「これ」しかやらない』『できる営業は、「これ」しかやらない』(以上、PHP研究所)』『「すぐやる人」のビジネス手帳術』(ナツメ社)、『仕事の速い人が絶対やらない段取りの仕方』(日本実業出版社)、『最速で仕事が終わる人の時短のワザ』(明日香出版社)など、著書は累計40冊以上。
「らしさラボ無料メールセミナー」(全8回)、YouTube:「研修トレーナー伊庭正康のスキルアップチャンネル」、Voicy:「1日5分 スキルUPラジオ」も好評。

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