本記事は、伊庭正康氏の著書『即効性バツグン、あらゆる場面で使える 営業テクニック図鑑』（日本実業出版社）の中から一部を抜粋・編集しています。
関係が良くなる
購入率が２倍になる「ネームコーリング効果」
「名前を呼ぶ」だけのすごい効果
人は名前を呼ばれると、相手に好意を抱きやすいといわれます。これは「ネームコーリング」という心理作用によるものです。
面白い実験を紹介しましょう。アメリカの南メソジスト大学のダニエル・ハワード博士による実験です。学生を2つのグループに分けて、それぞれを教授室に呼び出し、それぞれのグループに対して次のように言いました。
1つのグループには名前を呼んで「〇〇さん、クッキー買ってよ」。別のグループには、名前を呼ばずに、ただ「クッキー買ってよ」と。
すると、名前を呼んだグループのクッキーの購入率は約90％、名前を呼ばなかったグループは約50％と、2倍近い差があったというのです。
なんとも簡単な実験、と思いそうになりますが、営業の現場もまさにそう。実際、トップセールスほど、自然とお客様の名前を呼ぶ傾向があります。私も会話の中で、名前で相手を呼ぶことが多いのですが、最初は意識していたものの、今では無自覚にやっています。
- 「〇〇様、今日もよろしくお願い申し上げます」
「〇〇様、伺ってもよろしいですか？」
「〇〇様だからこそ！」
ぜひ営業は、相手の名前を呼ぶ習慣を身につけておきましょう。
「御社」「貴社」などと呼ぶのも間違いではありませんが、ネームコーリング効果を知ると、いかにもったいないかがわかるでしょう。
名前を呼ぶだけで、お客様との関係性が良くなるのはもちろん、アポイント率、契約率にもプラスの影響を与える、とっておきのテクニックです。営業であれば、やらない手はありません。
- ONE POINT
- トップセールスほど、自然と相手の名前を呼ぶ。
- 相手の名前を呼ぶことで、アポイント率、契約率もアップする。
交渉・調整
まず結論を伝える「PREP法」
あらゆるシーンで使える「万能の話法」
ビジネスパーソンが必ず覚えておきたい話し方、それが「PREP法」です。PREP法は、「結論」から手短に伝える話し方です。結論から話すことで、忙しい相手であってもストレスなく聞くことができますし、何より「説得力」が高まります。もちろん、提案のシーンでも使えますし、普段の会話でも使える“万能の話法”です。
では、具体的な方法を解説しましょう。PREP法は以下の順序で伝える話法です。
- Ｐ（Point）…………先に「結論」を伝える
Ｒ（Reason）………その「理由」を簡潔に伝える
Ｅ（Example）……理由を補う「詳細」を語る
Ｐ（Point）…………「結論」を繰り返す
PREP法で話すと次のようになります。
お客様：「どうすれば、良い人が採用できるのかな？」
営業：「実は、2つのことをやっている会社は、良い人材が採用できていると聞きます（結論）
「というのも、求職者の心に確実にヒットするからです」(理由)
「1つは、“採用しやすいターゲット”を狙うこと。もう１つは、“この会社に入りたいと思う魅力”を打ち出すことです。シンプルな打ち手ですが、その方法で、私のお客様も成功しています」（詳細）
「なので、鍵はこの２つを実施することです」（結論）
お客様：「たしかに……」
いかがでしょう。説得力がありませんか？
もちろん、最初は、うまく話せないでしょう。でも、1～2カ月、PREP法で話すよう心がけるだけで、その後は違和感なく、スムーズに話せるようになります。
- ONE POINT
- 伝える時の基本は「PREP」を心がける。
- PREP法は、1～2カ月ほど心がければ、自然にできるようになる。
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