この記事は2023年6月21日(水)に「羊飼いのFXブログ」で公開された「井口喜雄氏の現在の相場観とFXトレード戦略」を一部編集し、転載したものです。
2023年6月21日(水)の午後13時すぎにトレイダーズ証券の井口喜雄さんから聞いた最新の相場観と戦略を紹介する。
現在の為替相場の傾向や相場観
日米の金融政策が出揃い、米ドル/円は142円台まで高値を切り上げている。先週14日(水)の米FOMCはドットチャート(メンバーのFF金利見通し)において、2023年末時点の中央値が5.60%水準まで引き上がり、年内残り2回(50bp)利上げの可能性が示唆された。
パウエルFRB議長も追加利上げの確度は高いと言及したことに加え、市場で思惑が残る「年内利下げ」については、"2年ほど先の話"と切り捨てるなど、総じて「タカ派」な内容と言えるだろう。
一方で先週16日(金)の日銀金融政策決定会合では、テールリスクとして政策変更の声も聞こえたが、コンセンサス通り現行の金融緩和継続となり、円安が進んだ。円主導で米ドル/円・クロス円は上値追いムードを強めており、本邦為替介入が再び市場テーマとなっている。
今週は本日21日・22日とパウエルFRB議長の議会証言が予定されているほか、FRBメンバーの発言機会も多く注目したい。また明日22日(木)は利上げ予想の英BOEやスイス・トルコの金融政策発表、週末23日(金)には欧米PMIが控えており、ボラティリティは十分期待ができる。
現在の為替相場の戦略やスタンス
「ハト派」な日銀を背景に円売りのスタンスは変わらない。本邦当局者からの口先介入も活発になってはきているが、トーンを見るに前回の実弾介入ライン145円まではマーケットの好奇心を刺激する形で催促相場が続くと見ている。
また、「タカ派」なFOMCであったが直後からのドル買いは思いのほか鈍く、市場参加者がFRBのスタンスを信じきれていない面がある。
本日21日(水)からのパウエルFRB議長発言は、先週の会見に沿って素直にタカ派だろうが、仮に他メンバーからも強気発言が繰り出されれば、改めてドル買いが正当化されるのではないか。ただ、チャートを見ると米ドル/円は142円が重く、急上昇のスピード調整も入りやすいので下がったところを拾っていくほうが安全かもしれない。
このほか明日22日(木)のトルコ政策金利は、新たな中銀総裁・財務相のもとで路線変更に伴う大幅利上げが見込まれている。現時点では、8.50%から20%程度までの引き上げがコンセンサスだが、各社の予想レンジは12%から40%と振れ幅が大きい。
また、エルドアン大統領が本当に大幅利上げを許容するかは不透明であり、現時点で政策変更を鵜呑みにはできないだろう。ただ、長らく続いたリラ安トレンドが転換する可能性はあり、内容には注目してみたい。
▽米ドル/円 の日足チャート
※当記事は、投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。