キャッシュフロー計算書はどう作る?直接法と間接法の違い

キャッシュフロー計算書は、以下の3ステップで作成する方法が一般的である。

<キャッシュフロー計算書の作成手順>
1.必要な書類を用意する
2.キャッシュが変動した取引や活動を確認する
3.項目に分けてキャッシュの変動を記録する

それほど複雑な工程ではないが、作成方法には「直接法」と「間接法」の2つがあり、どちらを選ぶかで書類の特性は変わってくる。具体的にどのような違いがあるのか、以下で分かりやすく解説しよう。

直接法は国際会計基準で推奨されている

直接法は、主な取引ごとに収支をまとめて、詳細な営業活動によるキャッシュフローを記録する方法である。細かい資金の流れまで把握できるため、直接法は国際会計基準でも推奨されている。

<直接法による作成手順>
1.総勘定元帳などから営業収入を集計する
2.仕入れに関する支出を集計する
3.人件費を集計する
4.その他の営業費を集計し、営業活動によるキャッシュフローを計算する

項目ごとのキャッシュ増減を把握できるものの、直接法は大きな手間がかかりやすい。そのため、スピーディーに経営分析をしたい場合や、キャッシュフローを大まかに把握したい場合には、基本的に間接法のほうが向いている。

間接法は実務で多く使われる

間接法は、損益計算書のデータを加減または調整しながら、営業活動によるキャッシュフローの小計を計算する方法である。取引ごとの支出を集計する必要がなく、計算結果自体は直接法と変わらないため、間接法は多くの企業から採用されている。

<間接法による作成手順>
1.損益計算書の「税引前当期純利益」を確認する
2.非資金損益項目(減価償却費の当期繰入額など)を調整する
3.営業外の収益や費用、特別損益を調整する
4.営業活動に関わる項目(売掛金の増減など)を調整する

取引ごとの収支までは把握できないものの、間接法でも大まかなキャッシュフローは確認できる。特に非上場企業はキャッシュフロー計算書の公開義務がないため、まずは間接法による作成から検討してみよう。

DX化で書類作成からキャッシュフロー分析までを自動化する時代に

間接法を選ぶ場合であっても、キャッシュフロー計算書の作成にはある程度の手間がかかる。実務の負担を増やしたくない企業は、DX化による自動化を検討したい。

例えば、クラウド型の会計ソフトを導入すると、取引金額や日付を入力するだけで各取引がデータ化される。また、法人向けのAI系サービス(Azure AIなど)では、高度なキャッシュフロー分析までAIが代行してくれる。

導入コストはかかるものの、DX化によって書類作成から分析までを自動化すれば、本業に充てる人的リソースも増やせるはずだ。事業全体で見るとコスト削減につながることもあるので、自社に役立つデジタル技術やツールを探してみよう。