JA全中政府と真っ向対立

政府の規制改革会議は、5月14日、「農業改革に関する意見」を発表し、農業協同組合の見直しを提言した。「各農協がおかれた環境は、地域によってさまざまであるため、中央からの共通の指導に基づくよりも、各農協が、自主的に単独でまたは連携して戦略を策定し、実効的に成果を上げることができる仕組みをつくるべき」という内容だ。これに対して、JA全中は、11月7日、自ら組織改革案を公表し、中央において各農協を指導する監査権限などを従来通り維持するとして、政府と真っ向から争う姿勢を明らかにした。

JA(農業協同組合)は、農業従事者等を組合員とする協同組合で、市町村・地域レベルで構成されている。その上部組織として、都道府県レベルあるいは全国レベルの組織がある。その中でも、「JA全中」、「JA全農」、「農林中央金庫」が、今回規制のやり玉に挙がっており、規制をどこまで受け入れるのかが注目されている。

JA全中(全国農業協同組合中央会)は、市町村・地域レベルの農協の指導や監査を行う全国レベルの組織で、JA全農(全国農業協同組合連合会)は、農産物の買取りや販売を一括して行っている組織である。農林中央金庫は、農協の組合員に対して銀行のような金融サービスを提供している。


農協の過去・現在の状況

農協法の目的は、「農業者の協同組織の発達を促進することにより、農業生産力の増進及び農業者の経済的社会的地位の向上を図り、もって国民経済の発展に寄与すること」とされている。いわゆる零細農家の場合、流通業者と対等の関係で交渉することは難しいため、JAグループが農作物を一括で買取り、平均価格で流通業者に販売するというスタイルをとることで農家の安定を図ってきた。

しかし、流通速度や保存技術の向上により、農作物もグローバルで取引されるようになると、安い商品が大量に輸入されるようになった。また、国内においても、流通業者と農家との直接取引が増えるようになってくると、農協の存在意義自体が問われるようになってきた。