先月の話題になってしまって恐縮ですが、5月22日、FRBのバーナンキ議長が資産買い入れ規模を縮小する可能性を示唆して以来、米国の金融政策の動向に注目が集まっています。

バーナンキ米FRB議長、FOMC後会見で市場の混乱収拾できるか

本日は、この話題についてのまとめをお届けしたいと思います。

【参考】

QE3(資金供給)とシンガポール不動産
米国経済指標の読み方
アベノミクスで恩恵を受ける関連銘柄のまとめ [前編]〜円安とリフレで潤う企業〜
アベノミクスで恩恵を受ける関連銘柄のまとめ [後編]〜減税や公共投資で潤う企業〜


◉バーナンキ発言と混乱


5月22日、FRBのバーナンキ議長が資産買い入れ規模を縮小する可能性を示唆して以来、一言で言って世界の金融市場は混乱しているように見えます。米国市場も日本市場も明らかにボラティリティー(変動率)が上昇しています。そして、それ以上に、金融機関や個人の投資家も混乱しているのではないでしょうか。

FRBが行ってきた量的緩和政策(お金バラマキ政策)が永遠に続くものではないということは誰しも分かっていたことではありますが、いまそれを取りやめる(かもしれない)と言われると、やはり、様々な思惑と観測が浮上し、混乱は避けられないのかもしれません。


◉混乱が大きくなる要因〜投資家のモノの見方〜


金融市場全体を見渡すことがもはや不可能なほど各国の金融市場と経済が一体化していることは、そもそも大きな混乱を生み出しやすい温床になっているといっていいでしょう。

また、個別の市場について投資家が深く理解しているとは言い難い現在の状況も、そのことに拍車をかけていると思われます。東アジアの一員である日本人ですら、タイとマレーシアとインドネシアの市場の相違について理解しているとは言えません。タイで起こったことはベトナムでもマレーシアでも同じように起こるのではないか、と考えているし、そもそもそういった国々を分けて理解している人すら少ないのかもしれません。
同様に、海外の投資家でも日本のことについて深く理解しているプレーヤーは決して多くないと思われます。日本の実体経済の状況やアベノミクスの具体的な内容、期待される効果について正確に説明できるプレーヤーは少ないのではないでしょうか。

彼らが市場で起こった些細なことやキーマンの小さな発言から感じ取った「雰囲気」が市場に小さな変化をもたらします。そして、それに追随する投資家が一気に同じ動きをすることで、あっという間に大きな変化になってしまいます。
つまり、為替レートや株価の背景にある経済が実際どうなるかよりも、一部の人が「ドルが下がるかもしれない」と感じて、実際にドルを売りに出すことでドルの値段が少しだけ下がり、それを見た市場全体が一気にドル売りに走ることで結果としてドルが下がるという、いわゆる「予言の自己成就」が極めて短い時間の間に起こってしまうということです。