半常駐で支援することも

-ところで御社は、服部さんをはじめ、メンバーの吉沢さん、寺田さん、村上さん、竹丸さんの5人が個人的にファンドに出資されています。「投資先企業との一蓮托生度を高める」のが狙いとのことですが、スタートアップへの経営支援については、どのような特徴があるのでしょうか。

5人はそれぞれの分野のプロフェッショナルで、蓄積した知識やノウハウを活かして、さらに責任をもって支援する体制を作るために、個人としてファンドに出資しています。

例えば私はリクルートで人事に携わり、新規事業の立ち上げや人事制度の構築などに取り組んできました。吉沢はP&Gやヒューマンバリューなどでの勤務経験があり、新規事業を作っていくのが得意です。寺田は野村総合研究所が長く、大企業とスタートアップの連携による事業創造などに強く、村上はゴールドマン・サックス証券に勤務していたため、金融やM&A、成長戦略の策定などを得意としています。竹丸はマッキンゼーで新規事業開発や、調達コストの低減、全社戦略立案などに携わっていました。

この5人がそれぞれの特徴を生かして投資先企業の経営を支援しています。現在28社に投資していますが、半常駐で支援するようなケースもあります。

―最後にファンドへの就転職を目指す人にアドバイスをお願いします。

実はファンドをやりたいという人にはあまり会ったことがありません。どちらかというと起業をしたいという人の方が多いです。そこで言っているのは、いきなり起業するよりも、人からお金を集めて成長していくような会社を作るのであれば、ベンチャーキャピタルとの関係は切れませんので、ベンチャーキャピタル側の理論を知るためにも、一度ファンドの経験をしてみたり、修行してみたりするのはどうですかということです。

またベンチャーキャピタルは、大企業の組織もあれば、我々みたいにブティックVCという自分たちでやっているようなところもあり、投資規模や組織体制はさまざまです。いくつかのベンチャーキャピタルでお話を聞くのがいいのではないでしょうか。

M&A Online

(画像=インクルージョン・ジャパン 服部結花代表取締役、「M&A Online」より引用)

【服部結花さん】
京都大学法学部卒業後、リクルート入社。生命保険事業の立ち上げや、人事制度設計、次世代リーダー育成プログラム開発などに参画
2011年 インクルージョン・ジャパンを設立
2014年 ICJ1号ファンドを組成
2020年 ESGをテーマにしたICJ2号ファンドを組成
2021年10月から大阪大学ESGインテグレーション研究教育センター招聘准教授

文:M&A Online