さまざまなニーズに対応した多機能施設
のびのび遊べるのは子どもたちだけではありません。千葉県の道の駅では珍しくドッグランが設けられています。昨今人気の道の駅では必ず見かけるようになりましたが、これも滞在時間を増やしてもらう工夫ですね。
さらにキャンピングカーが停められるRVパークが2枠分整備されました。水道、電源が設置されており、お風呂は保田小学校の「里の小湯」を利用することができます。サイドオーニングを広げるスペースも確保されているので、のんびり宿泊を楽しむことができます。
ほかにも、コワーキングスペースや高速バスの乗り入れ誘致のためのバス待合スペースも整備。駐車スペースも大幅に増えて、保田小学校と合わせて200台の収容が可能になりました。あらゆる要素を組み合わせて滞在を楽しんでもらおうという意気込みを感じましたが、気になるのは「どうしてここまで思い切った施設の拡充を図ったか?」、という点です。
待ったなしの過疎問題。都市交流施設に活路
保田小学校がオープンする以前から鋸南町は人口減少が続く地域で、都会との関係人口を増やしながら移住定住に繋げていきたい思いもあって「都市交流施設」という役割が与えられていました。
しかし、道の駅が開業した2015年に8000人いた人口は、現在7000人を下回っている状況です。特に町内で大きな被害の出た2019年の房総半島台風以降減少に歯止めがかかっていません。道の駅のネームバリューはうなぎ上りなのに、そこで暮らす人が減っていく悪循環はせっかくの成功が活かされないことになるので、危機感は大きなものだったと想像できます。
特に今回前述の子育て支援施設などで地域の現役世代の声を取り込んだのは、どちらかというと外向きになってしまいがちな道の駅に、地域住民が普段づかいできる機能を盛り込んだ結果ともいえます。子育て世代が暮らしやすい環境づくりは、ひいてはここで遊んだ子供たちが将来、町を出てしまっても10年20年後に帰ってこられる場づくりでもあります。
息の長い話ですが、ある意味持続可能な道の駅づくりともいえます。
保田小学校附属ようちえんの模様は、YouTubeでも紹介していますので是非ご覧ください。
・道の駅兄弟(YouTube):https://www.youtube.com/watch?v=mywusElRhco