e0e75e84a54faf1c08af8206d134fe97_s

ホンダが揺れている。自動車メーカーのホンダは11月24日、自動車の不具合に関係する死傷事故を11年間で実際よりも1729件少なく米当局に報告していたことが同社の内部調査により判明したと発表した。

同社では昨年から今年にかけて「フィット・ハイブリッド」、「ヴェゼル・ハイブリッド」などですでに5度のリコールを実施しており、市場からの信頼感が大きく揺らいでいる最中である。今回はこのホンダの一連の騒動の背景にある問題は何かを考えてみたい。


ホンダの問題点が浮き彫りに…リコールを皮切りに事故の深刻漏れが続く

まず、昨年以降ホンダを巡って起こった騒動についてみていこう。ホンダが「フィット・ハイブリッド」、「ヴェゼル・ハイブリッド」の販売を開始したのは昨年9月である。これらはトヨタへの逆転を期して開発された「新HVシステム」が搭載されており、同社にとって戦略的に重要な意味を持つものであった。しかし翌月10月の自動変速機の制御プログラムに関するリコールを皮切りに、2014年11月までに計5度のリコールを実施する事態に陥っている。そして、今月に入ってさらに死傷事故の申告漏れが明らかになったのである。

今回明らかになった申告漏れについて同社の公式発表では「不注意によるデータ入力ミスやコンピューターのプログラミングの誤り」としており、この問題が単なる単純ミスであるように報告している。しかし実際には、この「申告漏れ」問題は、上記「リコール」問題同様、現在のホンダの問題点を浮き彫りにするものであり、ホンダの将来を占う上で重要な意味を持つと考えられる。


内部統制の甘さが目立つ

今回の「申告漏れ」問題において問題となっているのは、申告漏れそのものだけではない。第三者機関による調査によると、ホンダ内部では「申告漏れ」の問題は2011年の時点で認識されており、2012年1月には米国運輸省高速道路交通安全局(NHTSA)から、申告漏れの指摘があったにも関わらず、2014年9月まで本格的な内部調査が行われていなかったことが判明したのだ。

このことはホンダの内部統制の甘さを如実に物語っている。実は、同社において内部統制の問題が明らかになったのは今回が初めてではない。

例えば2011年1月には、連結子会社であるホンダトレーディング社(HT社)の食品事業部において架空循環取引が行われていたことが明らかになり、損失額は140億円以上に上った。本件ではHT社の代表取締役の辞任につながっている。

また、2012年10月には同社の決算関連資料を予定より4時間早く開示してしまうというミスも起こっている。このケースは直接的には、広報担当者のミスであるが、決算情報のような重要な情報の開示にあたっては、内部統制項目の一つである開示統制の一環として開示直後の確認作業が不可欠となっており、このケースでは実運用においてマニュアルが遵守されていないか、マニュアルそのものに不備があった疑いが大きいのである。

このようにホンダでは、内部統制上の問題によりこれまで度々問題が起こってきた。今回の「申告漏れ」の問題においても、「不注意による入力ミス」、「内部やNHTSAから指摘があったにも関わらず、最近まで対策が実施されていなかった」ことなどから、内部統制のルールまたは運用上、多くの不備があったことは間違いないだろう。