現場における内部統制の遵守が疎かに

このような問題が続く背景として近年の販売台数偏重の経営体制に問題があるという見方もある。ホンダでは「2016年度に全世界で600万台販売」という計画を立て、開発期間の短縮やコストダウンに取り組んでいる。

しかし、今回問題となっている内部統制とはそもそも、それまで各人・各部署が独自の判断で行っていた業務にルールを設定し、そのルールに沿った運用が行われているかを監視するものである。従って業務の効率という点ではマイナスの影響を及ぼす取り組みである。そのため近年の販売台数増加目標に追い立てられる中、現場における内部統制の遵守が疎かにされてしまった可能性が高いと考えられる。

昨年からの一連のリコール騒動を受けて、ホンダの技術に対する信頼が揺らいでいる最中、今回の「申告漏れ」問題により会社の姿勢への信頼も失われてしまえば、今後、長年にわたって築きあげられたホンダブランドに対する信頼にも悪影響が出る可能性がある。その結果として、米国を始めとした世界市場での販売低下につながるとすれば同社にとって大きな損失となるのは間違いない。

現在、同社は「フィット」、「ヴェゼル」のリコール対策のため、必死に「製品品質向上」にとりくんでいる。もちろんこの、製品品質の向上は、同社の信頼回復にとって極めて重要であることは間違いない。しかし、今後は内部統制の徹底を通じた「業務品質向上」にも取り組んでいく必要がある。さもなければ今回のように、市場の信頼を裏切る事態が再び起こる可能性は小さくないだろう。

(ZUU online)

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