アトツギベンチャーはイノベーションをどう創出するのか
Exit型や地方豪族型のアトツギベンチャーは、持続的な成長のためにイノベーションを創出する必要がある。ランチェスター型についても、市場でのポジションを確立するには生産工程などのイノベーションが必要になるだろう。
アトツギベンチャーが目指すイノベーションは、下記の5つに分類できる。
- プロダクトイノベーション(新たな商品やサービスの開発)
- マーケットイノベーション(新たな市場や販路の創出)
- プロセスイノベーション(生産方法や体制、流通方法の再構築)
- サプライチェーンイノベーション(原材料や調達方法、供給方法の見直し)
- 組織イノベーション(組織力や人材の強化)
イノベーション創出のハードルは高いため、通常の起業とは異なるプロセスで事業展開をすることが必要になる。どのように方針を立てれば良いのか、以下ではアトツギベンチャーがイノベーションを創出するポイントについて解説する。
既存事業の承継と新規事業のローンチを同時に行う
アトツギベンチャーがイノベーションを創出するには、新しいビジネスモデルの構想だけではなく、土台となる資金や人材、技術、ノウハウなどが必要だ。また、既存事業を疎かにすると、収益が減ることで倒産のリスクが上がってしまう。
そのため、一般社団法人ベンチャー型事業承継は、以下のような事業スキームを構築している。
簡単にまとめると、既存事業を承継するまでのプロセスと、新規事業の展開を同時並行で進めていく流れだ。既存事業の特性やノウハウを十分に理解することで、新しいビジネスモデルの質が上がり、結果としてイノベーション創出の可能性が高まる。
また、「イノベーションを起こす」という観点から既存事業を見直すと、新たな課題が見つかることもあるだろう。会社を永続的に存続させるには、既存事業・新規事業のいずれも必要になる点はきちんと理解しておきたい。
分野によっては官民連携のサポートが必要に
資金や人材などが限られた企業では、イノベーションの創出が難しいこともある。売上アップやコスト削減につながる施策であることが分かっていても、そのリソースを確保できないケースは珍しくないだろう。
したがって、アトツギベンチャーの分野によっては、官民連携のサポートを利用することも考えたい。例えば、前述の北海道経済産業局は、情報交換や人脈形成に役立つさまざまなイベントを開催している。
また、ものづくり補助金やIT導入補助金など、国の支援制度を活用する方法もひとつの手だ。新規事業やイノベーションの方向性によっては、他にもさまざまな支援制度を活用できる。