この記事は2024年5月8日(水)に「羊飼いのFXブログ」で公開された「西原宏一氏の現在の相場観とFXトレード戦略」を一部編集し、転載したものです。


FXトレード戦略
(画像=cassis/stock.adobe.com)

2024年5月8日(水)の午前10時すぎに、現役トレーダーの西原宏一さんから聞いた最新の相場観と戦略を紹介する。

西原宏一
青山学院大学卒業後、1985年に大手米系銀行のシティバンク東京支店へ入行。1996年まで同行にて為替部門チーフトレーダーとして在籍。その後、活躍の場を海外へ移し、ドイツ銀行ロンドン支店でジャパンデスク・ヘッド、シンガポール開発銀行シンガポール本店でプロプライアタリー・ディーラーなどを歴任後、独立。ロンドン、シンガポール、香港など海外ヘッジファンドとの交流が深く、独自の情報網を持つ。

現在の為替相場の傾向や相場観

米ドル/円は先週160.17円付近まで急騰した後、当局の介入と思われる巨額のドル売りにより、あっという間に8円急落。過去1年半レジスタンスであった神田シーリング(@152.00円)がサポートとなりやっと下げ渋るという激しい相場展開となった。

しかし、先週末のイエレン米財務長官のコメントにより今週の米ドル/円は再び155.00円レベルまで反発している。

イエレン米財務長官は4日(土)、日本の通貨当局が円買い介入を行ったかどうかについては言及を避けた上で、3日終了週の円相場の動きは急激だったと認めた。イエレン長官はアリゾナ州メサで行われた講演の後、記者団に「介入の有無についてコメントするつもりはない」と述べ、「それはうわさだと思う」と話した。その上で長官は、円相場は「比較的短期間にかなり動いた」と述べ、「こうした介入はまれであるべきで、協議が行われることが期待される」と付け加えた。

(出所:ブルームバーグ)

現在の為替相場の戦略やスタンス

介入について"I think that that's a rumor=それはうわさだと思う。"というのはなにか強烈に皮肉っている印象。

介入に関しては「協議が行われることが期待される」と言っているが日本が米国に協議せず、介入することはあり得ないので、イエレン米財務長官は介入について知らないはずはない。そのため、大規模介入に対して批判しているように聞こえる。

欧米のメディアではYellen Loses Face Over Japan(日本に関して面目を失った)というトーンの報道もあり、やはり先週のFOMC後の、全く荒れていない相場環境においての、強烈な介入はちょっと問題になるのではないかと考えている。

結果、本日午前10時時点の米ドル/円は154円台後半まで反発している。イエレン米財務長官のコメントによって、前回のように当局がいきなり大規模に介入するのは難しくなると考えているため米ドル/円の上昇トレンドは変わらず。

ただ先週160.17円付近まで上昇したものが一時的とはいえ、8円急落しているため週足のチャートが劣化している。よって、当面調整期間が必要だと考えている。米ドル/円は高値を追わず、152~156円のレンジ内で丁寧に押し目買いスタンス継続で臨みたい。

▽米ドル/円 週足チャート

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(画像=羊飼いのFXブログ)

*:当記事は、投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。