総括
FX「停電改善が成長を高める。中銀はタカ派。年初来最強通貨維持」南アランド見通し
「通貨首位、株価13位」
「予想レンジ 南アランド円8.6-9.1」
(ポイント)
*ランドは最強通貨。また年初来でも総選挙後もトリプル高
*先週の指標はマチマチ
*今後の注目は7月18日の政策金利
*100日以上、停電なし
*原子力計画に注力
*停電の改善は成長を高めるか
*連立政権の問題点
*中銀総裁はインフレ目標の引き下げを提言
*5月インフレは5.2% 利下げは11月か
*新政権発足後は数多くの問題に対処しなければならない
*15年ぶりの基礎的財政黒字を達成
*IMFが2024の成長見通しを0.1%引き下げ
*アゴア法適用継続で南アの対米輸出への恩恵続く
*中国と南アの関係は強化されている
*グレーリスト解除は来年か
(ランドは最強通貨。また年初来でも総選挙後もトリプル高)
南アランドは6月最強、年間でも首位を維持した。連立政権が6月末に成立、当初は、その規模の大きさが批判され売られたが、先週後半はエネルギー問題改善で盛り返した。
対円で年初来14.94%高、対ドルで0.78%高。株価(全株指数)は一時マイナス圏に沈んだが、盛り返し5.08%高。10年国債は9.98%に低下。年初来でも総選挙後もトリプル高。
(電力問題改善は経済の好循環を生む)
・電力問題の改善は成長を高める
・改善要因= 電力ユニットの性能向上、太陽光増加、原子力発電計画、
・エスコム社の収益改善、電力予算の縮小と税収増で財政赤字も減少
・成長も1%から2%へ
(今後の注目は7月18日の政策金利、中銀総裁はタカ派)
南ア中銀クガニャゴ総裁は、約3年間消費者物価上昇率を4.5%に抑えるのに苦労してきたが、インフレ目標を達成できるという信頼を取り戻さなければならないと述べた。
インフレ率を3%から6%の範囲に目標設定しているが、金融政策委員会は物価上昇率の期待値を中間値付近に据え置くことを望んでいる。5月の年間インフレ率は5.2%%で、前月から変化はなかった。
クガニャゴ総裁は、目標達成のため、抑制的だと考える水準である8.25%で基準金利を維持していると述べた。
(良いニュースその1、停電なし)
南ア国営電力会社は、7月5日で問題となっている停電が連続100日停電が発生していないと発表した。国民の負担は軽減される。この点に関して、南ア国営電力会社はこれを「マイルストーンの達成」と呼び、主に同社の大容量発電ユニットの性能向上によるものであり、この期間中の無停電運転を達成するのに貢献したとしている。
(良いニュースその2、原子力計画に注力)
ラモクゴパ・エネルギー・電力大臣は、原子力計画に力を入れており、来月までに2,500MWの発電所建設の承認を財務省から得ることを目指している。
原子力は南アの再生可能エネルギーへの移行に役立つ可能性がある。
負荷遮断が減少する主な理由は、2023年に家庭用および業務用太陽光発電が急増し、数か月間で国内に5,000MW以上の太陽光発電が追加されたことだが、太陽エネルギーの大きな問題は、夜間や曇りの時には利用できないことであり、風力や原子力などのベース供給が不可欠となる。
(連立政権の問題点)
「肥大化した」連立政権が早くも批判にさらされている。ラマポーザ大統領による32人の大臣と43人の副大臣の任命は野党や財界指導者から、政権の停滞と税金の無駄遣いだと非難を浴びている。
ラマポーザ大統領は長年、すでに「肥大化した」内閣の規模を大幅に縮小すると約束してきたが、その逆のことを行った。大統領は「国家執行部に国民統一政府に加盟するすべての政党が含まれるようにする必要があるため、縮小は不可能だ」と弁解した。
また首都プレトリアや南ア最大都市ヨハネスブルグを含むハウテン州では、ANCとDAの対立で州政府幹部の任命が遅れている。
新政権には大いに期待したいが、高失業率、電力不足、水不足、物流混乱などなど難問山積。連立政権に不満な人々の反撃もあるだろう。