第1位 NR750

1千万円超えの中古バイクが続出している!750ccのレーサーレプリカとホモロゲ。その真実に迫り取引額の上位5機種を紹介…
(画像=「Car Me」より引用)
1千万円超えの中古バイクが続出している!750ccのレーサーレプリカとホモロゲ。その真実に迫り取引額の上位5機種を紹介…
(画像=「Car Me」より引用)
  • 落札台数  7台(2022年7月~2024年6月)
  • 最高落札額 1,592万円(2024年)
  • 平均落札額 1,005万円(2022年7月~2024年6月)
  • 最低落札額 600万円(2022年)

堂々の第一位は1992年モデルとして300台限定で発売されたNR750
そのルーツは、ワークスマシン(レース専用機)で競われる世界最高峰のレースWGP(現MotoGP)向けに、RSC(現HRCでホンダのレース部門会社)が1979年に投入したマシンNR500に遡る。
ライバル機に対しての特異点として、気筒当たり8バルブ・楕円ピストン・4ストロークのV型4気筒エンジンが挙げられるが、出場を果たした1982年までWGPでは1度もポイントを獲得するには至らなった。
ケニー・ロバーツ、エディー・ローソン、フレディ・スペンサー、ケビン・シュワンツといったトップライダーが130馬力/120kg 台のマシンに跨りデッドヒートを繰り広げていた時代。 ライバル機は、1982年まで7シーズン連続してWGPタイトルを獲得したRG500やYZR500(1973~2002年)等になるが、この両機は空前絶後となるGPマシンレプリカのRZV500R(1984年)、RG500ガンマ(1985年)として発売された。

1983年シーズンからはHRC製の2ストロークV型3気筒を積んだNS500で戦うことになりNRは一旦鳴りを潜めるのだが、 1987年のル・マン24時間耐久レースで、HRCワークスマシンNR750がデビューを果たす。しかしながら完走は果たせなかった。
因みにエンジンは同じく楕円ピストンの32バルブV型4気筒であったが、最終82年NR500比で30馬力以上出力が高められ155馬力(15,250回転)となっていた。

1992年モデルで市販化されたNR750はワークスマシンNR750のレプリカではあるが、レーサー志向「そのまんまレプリカ」とは趣が異なる。
タンクカバーからシートカウルまで一体型となった外装にはレーサーグラフィックを排除した深紅のグラフィックが採用され、一見するとツアラーにも見えるスタイリングだ。
その背景には、ベースのワークスマシンが輝かしい戦績を残せなかった点に加えて、 SBK(世界スーパーバイク選手権)参戦用のホモロゲーション機で且つタイトルを獲得した1987年のVFR750R(RC30)や1994年のRVF750(RC45)との差別化が必要であったからであろう。
本機の最大の特徴であり後にも先にもNRにのみ組み込まれた楕円形ピストンを改良して32バルブのまま量産市販化された1992年のNR750。そのコンセプトはピストン形状同様に唯一無二のオリジナリティーであったことが車体から伺える。

300台限定で発売された本機であるがその内訳は下記となる。
・国内向け200台(77馬力/11,500回転)
・海外向け100台(130馬力/14,000回転)

本機がエポックメイキングであった理由の1つに小売価格が挙げられる。
バブル景気最中に発売されたとあってその小売価格は520万円。
数多くの独自パーツを剛性に奢ったことでまさにバブル級の小売価格での登場となりました。 因みに当時、HONDA製バイクで最大排気量を誇っていたのが1520ccのゴールドウイング。1992年型は北米生産のため輸入モデルであったが上位グレードSEの国内販売価格は215万円であった。
更に北米向けの売価は5万$であり当時のレートで約625万円となっていた。これは当時ハーレーのエントリーモデルXLH-883の10倍以上の価格設定であった。

本機が高額取引(買取査定)対象となっている理由を列記すれば
・ワークスマシン由来で唯一無二のエンジン機構を採用
・バブル期に豪華なパーツを多数奢って超高額の小売価格が設定されていた

更に2021年以降、急速にプレミアム度を焚けめている理由には
・新車供給が細り中古バイク相場が高騰したコロナ禍相場の波に乗った
・急速な円安とインフレで従来の2割増の金額で仕入れが可能となっている海外勢の存在
が挙げられるだろう。

機種 NR750
年式 1992年
販売数 300台(国内200台/海外100台)
当時の価格 520万円(北米仕様:50,000$)
最大馬力 77馬力@11,500回転(海外仕様:130馬力@14,000回転)