メキシコペソ見通し
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

総括

FX「4年振り年足陰転、8日連続陰線、メキシコに何が起こっている」メキシコペソ見通し

予想レンジ 7.6-8.1

 (ポイント)
*王者メキシコが4年振りに年足陰転。8日連続陰線
*株価は世界最弱、金利は漸く小幅低下
*弱い2Q・GDP、米墨成長見通しが逆転
*政策金利は
*6月は貿易赤字、黒字が定着しない要因は
*トランプ前大統領は、中国の自動車メーカーによる米国での生産を認めると発言
*円買い介入にテスラショックで続落。株も弱く、債券も売られるトリプル安
*7月前半消費者物価はヘッドラインで上昇、コアは低下
*IMF成長見通し下方修正
*フィッチ、メキシコの2024年の成長予測を2.2%に下方修正
*ニアショアリングのためのビジネス諮問委員会を設置
*中銀ヒース副総裁発言はペソを押し上げ、一方メヒア副総裁は利下げ派
*対米輸出好調。郷里送金もまずまず、ニアショアリング好調
*2026年USMCA改定への議論開始、米国大統領選挙でも言及されよう
*メキシコの格付けはジャンク債の手前

(王者メキシコが4年振りに年足陰転。8日連続陰線)
 2年連続世界最強だったメキシコペソが対円で4年振りに陰転。7月11日の日銀円買い介入後は最弱通貨。7月は月間10位。年間は11位。円買い介入、テスラショック、貿易赤字、成長減速などが続き売り込まれる。トランプ前大統領は中国の自動車工場を米国に造れば課税はないと発言したことも影響。

(株価は世界最弱、金利は漸く小幅低下)
ボルサ株価指数も弱い。世界最弱市場の一つで年初来8.66%安。長期債も財政赤字拡大懸念で10.59%まで上昇していたが、FRBの利下げ観測もあり、世界的金利低下の流れで10.14%まで低下している。

(弱い2Q・GDP、米墨成長見通しが逆転)
 2Q・GDPは前年比で2.2%増、1Qの1.6%増から伸びたが、予想の2.3%増を下回った。前期比では0.2%増、1Qの0.3%増や予想の0.4%増を下回った。農業などの第1次産業が前期比1.7%%減と落ち込んだ。長引く干ばつによる不作が影響している。IMFはメキシコの24年の成長率を2.2%と予想、米国の2.6%成長予想と逆転する。23年はメキシコが3.2%成長、米国が2.5%だった。

(政策金利は)
GDP減速を受けて、市場では、中銀はメキシコ中央銀行が8月8日の会合で利下げを再開するとの観測が強まりつつある。
 FRBの利下げ観測が強まってきたこともある。8月8日の金利決定の直前に7月消費者物価の発表がある。ヘッドラインCPIは上昇予想も、コアは低下予想のようだ。

(6月は貿易赤字、黒字が定着しない要因は)
 6月貿易収支は10.37億ドルの赤字。予想は10億ドルの黒字であった。メキシコは貿易黒字が定着しない。メキシコは産油国でOPECプラスのメンバーで原油輸出国だが、ガソリンなどの原油関連製品の輸入は原油輸出の2倍であり、貿易黒字が定着しない。産油国でありながら製油能力が小さいため、ガソリンなど石油製品輸入は増加している。国営石油企業PEMEXの非効率な経営も問題視されている。