南アランド見通し
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

総括

FX「年間で首位に立つ、その要因と懸念材料は」南アランド見通し

「通貨首位、株価13位」
「予想レンジ 南アランド円8.0-8.5」                               

(ポイント)
*年間首位に立つ
*その要因と懸念材料は
*9月は利下げか
*雇用を除く経済指標は強い
*今週は7月消費者物価
*債券市場に海外資金が流入
*電力事情は改善
*IMF、南アの2024年の成長率予測を1%未満に維持
*財務長官が財政改革を明言
*アゴア法適用継続で南アの対米輸出への恩恵続くが、ガザ問題で関係悪化も
*停電の改善は成長を高めるか
*15年ぶりの基礎的財政黒字を達成
*中国と南アの関係は強化されている
*グレーリスト解除は来年か

(首位に立つ)
 南アランドが英ポンドを抜き年間首位に立った。6月の連立政権誕生効果が大きい。財政改善、エネルギー問題改善が期待されている。円買い介入を起点として世界的なリスク回避の動きとなったが。下げ幅が小さく首位に立った。
 南ア全株指数は年初来7.71%高、10年国債利回りは、今後の利下げ観測もあり、今年のピークの11%から現在は9.32%まで低下している。

(経済指標は好調)
 8月発表の経済指標は概ね好調だ。アブサ7月製造業PMIは52.4で前月の45.7を、S&P7月製造業PMIは49.3で前月の49.2をいずれも上回った。
 6月小売売上は前年比4.1%と強かった。前月は1.1%増。4か月連続の増加だ。

ただ2Q失業率は33.5%で1Qの32.9%から悪化した。

(今週の注目点)
6月景気先行指数、7月消費者物価の発表がある。消費者物価の予想は前年比5.0%、前月は5.1%。

(ガソリン価格の値下げと政策金利)
 中東緊張もあるが、世界の原油価格がピーク時から下落したことで、7月に南アのガソリンとディーゼルの価格が1リットルあたり15セント値下げされた。
今回の値下げは4か月連続。大統領選挙前から停電のない状況も続いており、南アのエネルギー問題が大きく改善すれば経済成長に好影響を与えるだろう。

 エネルギー問題の改善も考慮して、予想される利下げサイクルは、9月に0.25%の利下げ、11月にさらに1回の利下げを予想しており、2025年半ばまでに最終金利は7.25%~7.75%となる見込みだ。
南アが米国よりも緩やかな利下げサイクルを維持すれば、ランドは金利差から恩恵を受け、上昇する可能性が高い。一方、南アが米国に先んじて、あるいは米国と足並みを揃えて利下げすれば、ランドは引き続き圧力を受ける可能性が高い。

(懸念は、中東問題とAGOA)
 南アはパレスチナ自治区ガザへの大規模攻撃を巡りイスラエルを国際司法裁判所(ICJ)に提訴している。イスラエルがジェノサイド防止に関する条約に違反していると提訴し、イスラエルに戦闘停止の緊急措置を命じるようICJに求めている。ICJはイスラエルに対し、ガザ地区での軍事作戦を停止するよう暫定的な措置を命じた。

 親イスラエルの米国はこれに反対している。現在、交渉中のAGOA(米国がアフリカ諸国からの輸入関税を免除する法)も、これを理由として、免税特権が取り消される可能性がある。米国は南アにとって、
中国に次ぐ2番目の輸出先だ。AGOA交渉が決裂すれば打撃が大きい。