2024年6月3日から年金の受給開始手続きの「電子申請」が可能になった。一定の条件を満たしている人が対象で、書類による手続きよりもかかる時間が短縮となる。本記事では、電子申請の具体的な方法や対象者、ほかに電子申請が可能な手続きがあることについて紹介していく。

可能になった年金の電子申請の概要

年金の電子申請が可能に ! やり方や手順は ? そのほかオンラインで可能な手続き
(画像=One / stock.adobe.com)

まず、可能になった年金の電子申請の概要を紹介していこう。

対象者は ?

基本的に年金を受け取るための電子申請の対象者は、「マイナポータルから『ねんきんネット』を利用している人」となっている。

ただし、2024年6月から始まった電子申請の仕組みのスタート時点で対象者は、やや限定的だ。単身者かつ公的年金をほかに受け取っていないなどの条件に合う人が対象となっている。システム開発の都合でこうした制約があるが、段階的に対象を拡大していく予定だ。

ちなみに、マイナポータルは行政手続きのオンライン窓口としてデジタル庁が所管しており、ねんきんネットはパソコンやスマートフォンから年金情報を確認できるサービスとして日本年金機構が管理・運営している。マイナンバーカードは健康保険証の代わりに使え、給付金の受け取りやパスポートの更新、確定申告などさまざまなシーンで活用が広がっており、それに伴い、マイナポータルなどを利用する機会も増えている。

スマホもパソコンも手続き可能 ?

対象となっている人の場合、スマートフォンやパソコンを通じてインターネットに接続できれば、電子申請の手続きを進められる。ただしスマートフォンを持っていない場合は、マイナンバーカードの読み取り装置を準備する必要があり、やや手間は増える。

電子申請の2つのメリット

続いて、電子申請のメリットを整理しよう。

窓口へ行かずに手続きができる

年金の請求手続きを行う場合、これまでは紙の請求書を郵送したり年金事務所の窓口に足を運んだりする必要があった。しかし、電子申請の仕組みを活用すればこうした手間が発生しない。日本年金機構は「自宅にいながら約15分で申請が完了します」と説明している。

手続き状況をスマホで確認できる

手続きの進捗確認をスマートフォンなどから行えることもメリットだ。わざわざ年金事務所や年金相談センターの窓口へ問い合わせする必要がなく、窓口が閉まっている早朝や夜間などでも状況確認ができる。

電子申請の手順は ?

便利でメリットが多い電子申請を利用するためには、どのような準備が必要になるのだろうか。手順を追って説明していこう。

事前にすべきこと

事前に「マイナポータルの利用者登録」が必要だ。手順としては、マイナポータルにアクセスして「ログイン」を押し、マイナンバーカードのパスワードを入力する。そして、スマートフォンを使っている場合は端末でマイナンバーカードを読み取り、パソコンの場合は読み取り装置を使ってログインを完了させよう。

その後、利用者登録へ進み、公金受取口座の登録やマイナポータルとねんきんネットの連携を済ませる流れとなる。ちなみに、連携を済ませるとe-Taxでの確定申告が便利になるほか、年金振込通知書や年金額改定通知書の閲覧も簡単にできるようになる。

実際の年金の請求方法

続いて、実際に年金の請求を電子申請で行う方法を3ステップに分けて解説する。

・ステップ1
マイナポータルからねんきんネットにログインする。マイナポータルにログイン後、画面をスクロールして「お金」エリアの「年金」を選択し、「年金を請求する方・年金を受給している方の手続き (ねんきんネット) 」を選ぶ。

・ステップ2
事前確認事項への回答や住所、電話番号の入力、年金の受取口座の指定などを済ませ、最後に申請内容の確認を行う。

・ステップ3
署名用電子証明書パスワードを入力後、スマートフォンを使って電子申請する場合は端末でマイナンバーカードを読み取り、申請が完了する。請求結果は、1ヶ月前後で郵送通知が行われる。

年金以外にもさまざまなことが電子申請できる時代に

このように年金の電子申請が始まったわけだが、すでに年金以外のさまざまなことでも電子申請が利用できる時代となっている。例えば、パスポートの更新や引っ越し手続き、罹災 (りさい) 証明書の発行などだ。

パスポートの更新手続き

パスポートの場合、初めての発行手続きでは電子申請は利用できない。しかし、更新手続きはスマートフォンを使って行うことができる。2023年3月にこの仕組みが始まり、マイナポータルとマイナンバーカードを利用して行う。

引っ越しに伴う転出・転入手続き

引っ越しをすると、行政機関への転出届・転入届などの手続きが発生する。こうした手続きもスマートフォンを使ってできるようになっている。市区町村への来庁予定の連絡もオンラインで可能だ。

罹災 (りさい) 証明書の発行

台風や震災などで被災した場合、オンラインで罹災証明書の発行を申請することができる。申請には、建物画像のデータなどが必要だ。

積極的に利用して恩恵を受けよう

今後、どんどん国や自治体の各種制度でデジタル技術やマイナンバーカードが活用される見込みだ。新しいことを覚える手間を面倒に思わず、都度電子申請などに挑戦してみることでさまざまな行政デジタル化の恩恵を受け続けることができる。ぜひ、積極的に利用していこう。

(提供:大和ネクスト銀行


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