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丹治 保積(たんじ ほづみ)
レジル株式会社代表取締役社長
1998年日本ヒューレット・パッカード入社。2001年楽天株式会社に入社し、楽天大学事業部長や子会社取締役等を歴任。2010年ミスミグループ本社に入社し、経営戦略スキルを磨く。子会社だったシグニ株式会社の社長として10年間赤字の同社を黒字化し、業界トップ企業へと押し上げる。その後、複数企業の役員としてターンアラウンドを経験したのち、2020年12月に執行役員として当社入社。2021年4月に取締役執行役員、2021年12月に代表取締役社長就任。
レジル株式会社
レジルは、「脱炭素を、難問にしない」を企業ミッションに掲げ、気候変動問題への対応やカーボンニュートラルの実現に向けて、エネルギー領域におけるデジタルテクノロジーの活用や蓄積した業務ノウハウを生かした諸サービスを提供。分散型エネルギー事業、グリーンエネルギー事業、エネルギーDX事業の三つの事業に加え、脱炭素ソリューション事業を展開。

目次

  1. 創業時からの事業変遷
  2. 上場を目指された背景や思い
  3. 今後の事業戦略や展望
  4. 今後のファイナンス計画や重要テーマ
  5. ZUU onlineのユーザーに⼀⾔

創業時からの事業変遷

ー それではまず創業時からの事業変遷について、お話しいただければと思います。

丹治 :弊社は、創業者である中村誠司が東大阪で電力削減事業を立ち上げたことから始まりました。中村は実家が町工場であったため、東大阪の町工場の方々の電力コストをいかに削減するかという課題に強い思い入れがありました。この志がきっかけとなり、事業を開始し、その後、マンション向けのサービスを展開しました。東大阪にとどまらず、広範囲での電力削減方法の考案に取り組んできました。

当社はもともとBPO会社として活動しており、2004年の電力自由化以前は、マンションの代わりに電力を管理するサービスを提供していました。しかし、電力自由化を機に、当社は新たな方向性を模索しておりました。そこに平野という電力のスペシャリストが加わり、そのタイミングで電力小売事業への進出が決定し、2013年に電力会社としてのライセンスを取得して事業展開をスタートさせました。

そして2021年、私が社長に就任しました。これまでのBPO事業や平野が培ってきた電力調達のノウハウを活用し、現在、当社は新たなプラットフォームの構築に取り組んでいます。

レジル株式会社
(画像=レジル株式会社)

上場を目指された背景や思い

ー上場を目指された背景について教えてください

丹治 :上場を検討していた当初は、収益が順調でキャッシュフローもしっかりしていたため、上場の必要性については社内でも議論がありました。しかし、次の30年に向けて新しい事業を展開していくためには、優秀な人材の採用が不可欠です。特に、当社が参入しているエネルギーテックの分野では、上場企業であることが人材採用において大きなアドバンテージとなると考えました。

さらに、近年では大手企業や地方自治体との取引も増加しており、上場企業であることはガバナンスがしっかりしているという証拠にもなります。こうした理由から、当社は上場を決断しました。

ー 信用力の向上やガバナンスの強化が上場を決めた要因ということですね。実際に上場してみて、どのような反響があったのでしょうか?

丹治 :上場したことで、採用の応募数が増加したのは大きなメリットでした。また、地方自治体との取引が円滑になったという声も聞かれます。しかし、実際の社内の雰囲気や業務に関しては、上場前とそれほど変わらないというのが正直なところです。日々の業務を遂行する中で、上場の実感が湧く機会はあまりないかもしれません。

ー 経営と所有が分離されている点について、オーナー様との関係性や、工夫されていること、良い点や悪い点などがあれば教えていただけますか?

丹治 :私たちは非常に恵まれたオーナーのもとで働いていると感じております。オーナーは経営に対して一切干渉せず、未来のビジョンについても隔たりなく話すことができています。このように、経営と所有の分離がしっかりと確立されていることは働く環境としてはとても大切なことだと感じています。オーナー自身、「事業が成長すれば株価も自然についてくる」という姿勢を示してくれており、私たちは事業の成長に集中することができています。

今後の事業戦略や展望

ー今後の事業戦略や展望についてお話を伺いたいと思います。現在の強みをどのように捉えており、それを生かしてどんな展開をされていこうと考えていますか?

丹治 :弊社の強みは、電力の発電から調達、提供、メンテナンス、そして電力の制御と一気通貫で全てを自社で行える点にあります。この強みを活かし、日本が直面する電気代の高騰や電力不足、脱炭素の実現といった課題に対し、収益性を犠牲にすることなく解決に取り組んでいきたいと考えています。

レジル株式会社
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現在、ミッションに「脱炭素を、難問にしない」を掲げており、ユーザーが脱炭素を意識せずにその実現に貢献できるサービスを提供しています。便利で安心、そして楽しいサービスをお客様に提供し、そのサービスを利用することで自然に脱炭素が進むような仕組みを作り上げることで、会社の成長を目指しています。

ー実際にその目標を達成するためにどのようなことに取り組んでいますか?

丹治 :現在は事業部ごとに、脱炭素を意識することなく貢献できる仕組みを取り入れています。例えば、分散型エネルギー事業で提供するマンション防災サービスは、マンションに太陽光発電設備や蓄電池を当社の費用負担で設置し、平時には電力の制御によって電気代を削減するとともに、災害等による停電時には蓄電池から電力を供給することで、マンションのレジリエンスも向上させています。また、グリーンエネルギー事業では、企業向けに再生可能エネルギーを含む電力を提供しています。企業は市場競争力のある価格で電気を購入しますが、その電気が実際には再生可能エネルギーであるというわけです。

さらに、エネルギービジネスにおけるBPOサービスをSaaS型で提供するエネルギーDX事業では、当社のサービスやシステムを利用することでオペレーターやコールセンターの人数を減らし、企業のコストを削減する、あるいは自社のDXを発展させることができます。このように、私たちのサービスは、利用するだけで便利で楽しく、しかも安心できる環境を提供しながら、自然に脱炭素を推進する仕組みを実現しています。

今後のファイナンス計画や重要テーマ

ー事業成長を描く上で、重要となるファイナンスのテーマについて教えてください

丹治 :まず、事業への投資は引き続き行っていく予定です。具体的には、マンションの受変電設備費用等への投資とエネルギーシステムの改善のためのシステム投資を継続していく予定です。また、会社の成長性の加速を目指して、M&Aにも注力していきたいと考えています。幸い、当社にはCFOをはじめM&A分野のプロフェッショナルも在籍しており、積極的な取り組みが可能だと考えております。

ーファイナンスを使った今後の展望などはありますか?

丹治 :今後もこれまでと同じようにエネルギー分野のベンチャー企業に対する出資を行い、当社の顧客基盤を活用しながら、エネルギーの最適化を進めていく計画です。また、当社が保有するアセットの流動化や金融化等も検討しています。

さらに現在当社では連結配当性向30%を基準に配当も実施しています。当社の収益は積み上げ型であり、キャッシュフローも安定的に創出可能であるため、株主還元についてもしっかりと行っていきたいと考えています。

ーそれは興味深い取り組みですね。そのような仕組みを実現するために今後連携や協力などを進めていこうなどは検討されているのでしょうか?

丹治 :このような仕組みを実現するためには、金融機関や他社との連携が不可欠です。例えば、リース商品や金融商品を提供できる仕組みを構築する必要があります。現在のところ、当社の信用力は十分とは言えないため、金融機関の協力が必ず必要になると考えています。しかしこの仕組みを実現できれば、マンションの修繕積立金でアセットを購入し、効率的にリターンを上げることが可能になると考えています。

ZUU onlineのユーザーに⼀⾔

ーー 最後にZUU onlineのユーザー様へ一言お願いできますか?

丹治 : ぜひ当社の強みである継続的な収益構造に注目していただきたいと思います。特に基幹サービスであるマンション一括受電サービスは、初回の契約期間が10年と非常に長いのが特長です。また、サービスの解約率も非常に低く、長期にわたって安定・継続的な収益が大きな割合を占めています。これが当社の強力な収益基盤だと考えています。

まだ当社の認知度は低いですが、海外の成功事例を参考にしながら、日本市場でも成長していくことを目指しています。例えば、アメリカではさまざまな企業が立ち上がり、エネルギー分野で革新が進んでいます。日本では電力業界が規制によって守られている側面もある一方で、私たちは、日本市場で革新を起こし、成長を遂げたいと考えています。ご覧になっているユーザー様には当社のビジョンに共感していただき、ご支援をいただけることを願っています。是非、今後の当社の事業展開にご期待いただくとともに、当社に投資していただくことで、皆様にも利益を享受していただけると確信しています。

ーー 本日はお時間いただきありがとうございました。

氏名
丹治 保積(たんじ ほづみ)
会社名
レジル株式会社
役職
代表取締役社長

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