人民元見通し
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

総括

FX「中国政府が財政政策で12日会見-景気刺激策が焦点」人民元見通し

(通貨3位、株価10位)

予想レンジ 人民元/円 20.8-21.3

(ポイント)
*中国政府が財政政策で12日会見
*株価急騰急落。人民元円は6連続陽線
*来週は3Q・GDPなど注目指標多い
*「両重」と「両新」がキャッチフレーズ
*世銀の見方は悲観的
*ブラックロックなど世界の投資家が中国への投資判断を引き上げ
*若年失業率、8月は18.8%に上昇
*ドル買い介入で人民元急騰を抑えている
*豪中財務相会談が開催された
*8月鉱工業生産・小売売上高伸び鈍化
*9月各種PMIも伸び悩み
*米政府、対中関税引き上げを最終決定
*定年引き上げ案を承認 年金財政逼迫を緩和 
*8月貿易、輸出は駆け込みで増加、輸入は内需低迷で伸びず

(株価急騰急落。人民元円は6連続陽線)
人民元は対円で6連続陽線。株のような乱高下はなく堅調継続、21円台のせ。今月は4位スタート、年初来では3位と強い。
9月24日の景気刺激策で、株価は上海総合指数、香港ハンセン指数ともに急騰したが、今週は上海総合指数が前日まで10営業日続伸していたことを受けて利益確定の売りが出た。大規模な追加景気対策が発表されないことへの失望感が広がっている。香港ハンセン指数も続落した。上海・香港とも株価指数は今年はマイナス兼に陥っていたが、現在は上海総合が9.54%高、香港ハンセンは21.06%高。
 ただ歴史的に見ると香港ハンセン指数は2018年に3万2千台、上海総合指数は2007年に5900台をつけているので、史上最高値更新には遠い。
10年国債利回りは、政策金利引き下げでもやや上昇している。2.164%。

(中国政府が財政政策で10月12日会見-景気刺激策が焦点に、投資家期待)
中国政府は12日午前11時(日本時間)、財政政策に関して記者会見を開く。投資家は追加の景気対策を期待している。
景気下支えに向けた財政政策の強化策を紹介し、記者からの質問にも回答すると発表した。
 経済政策全般の立案を担う国家発展改革委員会(発改委)が8日の記者会見で公表した景気対策は期待外れで、中国株高の勢いも鈍っていた。

 市場にとって財政政策が焦点となっており、今回の会見は注目度が高い。モルガン・スタンレーやHSBCなど金融機関は2兆元規模の刺激策を見込む一方、シティグループは3兆元と想定。エコノミストらは地方政府の資金繰り支援やインフラ投資、消費の底上げ、銀行の資本増強などの措置を予想している。

(来週は注目指標多い)
10月13日に9月消費者物価・生産者物価、貿易収支、15日にMLF金利、18日に3Q・GDP、9月鉱工業生産、小売売上、固定資産投資、失業率の発表がある。

(世銀、中国経済減速さらに深まると警告)
世界銀行は8日、経済見通しを公表し、中国は最近の景気刺激策による一時的な後押しがあったとしても2025年の経済成長はさらに鈍化し、地域経済にとってさらなる重しになるとの見方を示した。
世銀は半期ごとにまとめる見通しで、中国の成長率は2024年の推定4.8%から、来年には4.3%に減速すると予測した。その結果、インドネシアやオーストラリア、韓国といった東アジア・太平洋地域の成長率は、25年に4.4%と、今年の推定約4.8%から鈍化するとみている。
 世銀は「中国の成長は30年にわたって近隣諸国にプラスとなる形で波及してきたが、そうした刺激の大きさは今や縮小しつつある」と指摘。「最近示された財政支援は短期的には成長を押し上げるかもしれないが、長期的な成長はより深い構造改革次第だろう」と分析した。
中国当局は今年の経済成長率目標を約5%に設定しているが、軟調な個人消費やなお不安定な不動産市況を背景に8月時点で目標達成はますます困難になっているように見受けられた。9月下旬に中国当局は金利引き下げなど金融政策を中心とした一連の景気刺激策を打ち出した。世銀による2025年の成長率予測は民間予想も4.5%をやや下回る。
 世銀は、中国の成長減速に加え、貿易・投資のフロー変化、世界的な政策不確実性の高まりも、東アジア・太平洋地域に影響を及ぼす可能性に言及した。