総括
FX「ペソ、合格発表を見るような気持ち=米大統領選」メキシコペソ見通し
予想レンジ 7.4-7.9
(ポイント)
*10月は月間3位、米大統領選を待つ
*経済指標は弱い
*メキシコはやるべきことをやり始めた
*海外からの投資誘致のための税控除策を打ち出す
*イエレン財務長官がトランプ氏のメキシコ政策を批判
*IMFも成長見通し下方修正。メキシコ中銀、OECD、世銀に続く
*海外はメキシコ投資を続けている。アマゾンなど
*消費者物価は低下
*自動車生産は好調
*郷里送金も好調
*最低賃金の引き上げを狙う(現在日給248.93ペソ=約1900円)
*2つの不確実性(司法改革と米大統領選)がある
*メキシコの格付けはジャンク債の手前
(10月は月間3位、米大統領選を待つ)
米大統領選を前にした10月だが、月間3位と健闘している。年間では最下位。トランプ氏が大統領になれば、今週行われているG20財務相・中銀総裁会議でも懸念しているように保護主義が打ち出され、メキシコだけでなく世界経済が一時混乱に陥る懸念がある。
ただメキシコ新政府は、司法制度改革によって生じたメキシコへの投資の不確実性を払拭すべく行動している(次項参照)。米民主党政権ならば対話を通じてニアショアリング問題を解決出来そうだ。
今月はパウエルFRB議長の「利下げを急がない」発言からのドル高、米金利上昇もあり、ペソは対ドルで若干小緩んでいる。
株価(ボルサ指数)は弱く、年初来9.74%安で世界最弱。10年国債利回りは10.41%。
(メキシコはやるべきことをやり始めた)
司法制度の改革により、米企業からも、その不確実性が懸念されている。シェインバウム大統領は、メキシコシティで開催された米国・メキシコCEO対話会議で200人以上のビジネスリーダーと会談しメキシコへの投資の安全性や優遇税制を強調し、投資を呼び込む姿勢を示した。アマゾンやマイクロソフトはメキシコの新規投資を発表している。
またメキシコのロセンド外務次官は、電気自動車、半導体、レアアース鉱物、電池、エレクトロニクス産業などの外国生産者を誘致するために財政信用優遇措置が検討されていると述べた。
(指標は弱い。GDPを予測する指標が弱かった)
8月経済活動指数は前月比-0.3%(前月0.6%)、前年比+0.4%(前月+3.8%)と弱かった。この数字は3Q・GDPに反映されるだろう。
(8月小売売上も弱い)
8月小売売上は前年比0.8%減少、7月は0.6%減少と弱さが続いた。
自動車、繊維・衣料、紙・書籍・文房具、ヘルスケアの売上が減少、食品・飲料の売上は急増した
(10月前半消費者物価)
メキシコ10月前半消費者物価(前年同月比)は4.69%(前回4.66%)、コア3.87%(前回3.95%)とほぼ予想通りの結果となった。10月全体の消費者物価は11月7日発表、政策金利は、FOMC、米大統領戦後の11月15日となる。
(海外からの投資誘致のための税控除策を打ち出す)
メキシコは、電気自動車(EV)や半導体、レアアース、バッテリー、エレクトロニクスの各分野を対象に、外国企業の投資と国内生産を促すための税控除措置を検討している。