本記事は、谷崎 真吾氏の著書『家の売り方大全』(あさ出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

信頼できる担当者かを見極める4つのポイント
大切なのはスピード、知識、正直さ、誠実さ
査定時の短いやり取りだけで、その担当者が本当に信頼できるかを判断するのは、難しいと思われるかもしれません。しかし、不動産売却に真剣に取り組んでくれる担当者には、いくつか共通する特徴がありますので、売却を依頼する前には、次の4つのポイントを押さえておきましょう。
① 対応スピードが速い
仕事への対応スピードは、その人の姿勢や仕事への熱意を反映するものです。不動産売却において、問い合わせや進捗確認に迅速に対応してくれる担当者は、物件の売却活動にも積極的に取り組む傾向があります。例えば、査定依頼をした際に返答が遅かったり、メールや電話の対応で横着されていたりすると、その担当者が売却活動を後回しにする可能性も考えられますので、安心して任せることはできません。
② その場で質問に答えられる知識がある
不動産は法律や市場動向、物件に関わることなど幅広い分野の知識が必要です。そのため、担当者がこれらの知識をしっかりと備えているかを見極めることが重要です。
例えば、査定の際に「なぜこの査定価格になるのか」「今後の流れはどうなるのか」「どのような諸経費がかかるのか」といった質問をした時に、その場で具体的な回答が得られなかったり、曖昧な返答しかされなかったりした場合は、担当者の知識不足を疑うべきです。信頼できる担当者は、売却のために必要な情報を明確かつ的確に説明してくれるものです。
③ デメリットもきちんと伝えてくれる
誰しも良いことばかりを話したがるものですが、信頼できる担当者は、物件のメリットだけでなく、デメリットについても正直に伝えてくれます。また、物件のデメリットを隠して売却活動を進めると、後々トラブルに発展するリスクがあるため、売主としてもデメリットを把握しておくことは大切です。
例えば、「設備が壊れている」「建具の動きが悪い」「駐車スペースが狭い」といったデメリットも正直に伝えてくれ、そのうえでどのようにカバーすればよいかを提案してくれる担当者は信頼できます。さらに、デメリットを考慮したうえで、売却活動をどのように進めるかを具体的に示してくれる担当者こそ、本当に頼りになる存在なのです。
④ 他社の悪口を言わない
不動産業界では、多くの会社が同じエリア内で競合しているため、「あの会社は全然ダメなのでやめたほうがいいですよ」など、他社の悪口を平気で言う担当者もいます。
しかし、信頼できる担当者は、他社の悪口を言って自社をアピールするような愚かなことはしません。
他社を否定して自社を良く見せようとする担当者は信頼に欠けるため、あなたの物件に対しても同様に誠実さを欠いた対応をする可能性があります。
他社を批判せず、前向きな提案や具体的なプランを示してくれる担当者を選ぶよう心がけましょう。
不動産売却を成功させるためには、担当者との信頼関係が欠かせません。
そのために、対応のスピード、その場で答えられる知識の豊富さ、デメリットも伝えてくれる正直な姿勢、そして他社を否定しない前向きな誠実さといった4つのポイントをしっかり確認してください。
査定時や打ち合わせでのやり取りを通じて、「この人なら安心して任せられる」と感じられる担当者を選ぶことが、不動産売却をスムーズに進める第一歩となります。焦らずじっくりと見極め、信頼できる最高のパートナーを見つけてください。
根拠のある「チャレンジ価格」は担当者に自信がある証拠
3つの査定価格
「少しでも高く売れる可能性があるなら、それにかけてみたい」
このような相談をしてくる方は多くいます。
不動産売却を進める際、査定価格は「最低価格」「査定価格」「チャレンジ価格」の3つを挙げられる場合があります。
最低価格とは、「ここまでは価格が下がる可能性があります」という最低ラインの価格です。また、査定価格は、現時点での市場相場や物件の状態から算出される適正価格を指しています。そして、チャレンジ価格とは、査定価格よりも高めに設定した価格で、たまたま購入を検討している人がいて、高く売却できるかもしれない可能性にかける設定価格です。
この中で特に「チャレンジ価格」を提案してくれる担当者は、売却活動に自信があるか、売却のことをしっかりと考え、市場を把握できている可能性のある存在だと考えられます。
例えば、数十年間そのエリアで不動産売却情報が出ていない、また新築時に人気すぎて抽選になった物件などの要因がある場合、そのエリアでは「高くても欲しい」という購入検討者がいるケースも考えられます。
住宅は一般的に年間2〜3%の動きがあると言われていますので、仮に20年売り物件がでていないエリアの場合、十分このようなことが考えられるのです。そういったことまで考慮できる担当者は信頼できると言えますし、また、チャレンジ価格での売却に失敗した場合でも、次にどう対応するかの具体的なプランも示してくれる担当者であれば、より信頼できるでしょう。
ただし、チャレンジ価格を提案される場合でも、根拠がない、単純に査定価格の10%上乗せしているだけなど、単に売主の気を引くために高額を提示されている場合は注意が必要です。価格の根拠や戦略についてしっかりと説明を受けることで、担当者が信頼できるかどうかを見極めましょう。

広島県生まれ。大学卒業後に総合不動産会社へ入社し、中古住宅の仕入と販売に従事。
中古住宅とお客様の特性や行動心理を徹底的に分解・分析し、赤字事業部を半年で黒字化。
その後も安定して成果を上げ続け、会社創立以来最年少の事業本部長に就任。九州地域ナンバーワン企業、株式上場へ大きく貢献。
2021年に不動産コンサルタントとして起業し、同年に株式会社ウィルステップを設立。2023年には株式会社SMILE’sを立ち上げ、リフォーム事業を展開。
現在は、これまで中古住宅売買に3,000件以上携わってきた実績とノウハウを活かし、中古住宅事業への新規参入支援、営業社員の教育、リフォームプロデュースなど幅広く行っている。
著書に『売れる営業がお客様に会う前にやっていること 初対面の7秒で絶大な信頼を勝ち取る』(日本実業出版社)がある。
- 不動産会社に売却を依頼する時のNG行為とは
- 家を「売りたい人」「買いたい人」不動産会社が優先するのはどっち?
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