本記事は、谷崎 真吾氏の著書『家の売り方大全』(あさ出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

明るいリビングルームのスクリーンに、モダンな住宅建築デザインを表示するノートパソコンとオンライン住宅検索結果が表示される
(画像=Neural9 プロジェクト / stock.adobe.com)

家を探している人の54.8%はポータルサイトで検索している

サイト掲載を制する者が売却を制する

「売却を開始したけど、内見してもらえない」

不動産の売却を開始したものの、なかなか進展しないと悩んでいる人は少なくありません。

不動産を契約してもらうためには、まず購入申込をしてもらう必要があり、申込をしてもらうためには、内見が必要となります。もちろん、内見をせずに購入してもらえるレアケースもありますが、「内見してもらえない」状態では売却が進むことはほぼあり得ません。

では、どうすればよいのでしょうか。

ここで重要なことは、購入検討者の立場になって「どうやって家を検討しているのかを考えてみる」ということです。不動産会社といえども、最終的に物件を購入するのは他人ですので、その行動や気持ちを完璧に理解することは不可能でしょう。

購入検討者は、内見をする前に必ず「情報収集」を行っています。そのため、購入検討者がどうやって情報収集をし、また何を見ているかを考えることが大切なのです。

情報収集の際に、多くの人が利用しているのが、不動産ポータルサイトです。ポータルサイトとは、「SUUMO」や「HOME'S」、「athome」など不動産情報が集約されているサイトのことを指します。

家の売り方大全
(画像=家の売り方大全)

2023年12月にアットホーム株式会社が実施した住まいの探し方調査によると、家を探している人の54.8%がポータルサイトを利用して物件情報を検索しているという結果が出ています。つまり家を購入する2人に1人は、ポータルサイトを使って情報収集をしているのです。

このことからも、物件がどのようにポータルサイトに掲載されているかが、売れるかどうかを大きく左右する重要な要素であることは、おわかりいただけるでしょう。

ポータルサイトは、購入検討者が最初に物件情報に触れる「窓口」となる存在です。

ここでの情報が、あなたの物件に対する第一印象を決定づけます。そのため、売却を依頼した不動産会社がいかに「魅力が伝わるように情報を掲載できるか」が、物件に対する問い合わせ、つまり「反響」に直結するのです。具体的には、写真の質や量、見せ方、物件の説明などがカギを握りますので、次項以降で紹介します。

反響がなければ内見もなく、内見がなければ売却は進みません。

まずはポータルサイトの掲載内容をしっかり確認し、不動産会社とともに効果的な情報発信を目指していきましょう。

売主しか知らないお勧めポイントをキャッチコピーに入れよう

キャッチコピーで差別化する

ポータルサイトで物件を検索して、まず目に留まるのは「物件の概要」であり、概要には「キャッチコピー」を載せられる項目があります。

この項目は、物件を探している買主が最初に目にする部分で、とても重要な役割を果たしています。そのため、ここには購入検討者の目に留まる魅力的なセールス文言を入れましょう。

ポータルサイトに掲載される情報は、基本的にはどれも似たり寄ったりで、価格、間取り、住所、広さ、築年数などの物件のスペック情報がメインです。

当然、これらの情報だけで買主の目を引くのは難しいため、買主が興味を持つようなキャッチコピーを入れる必要があります。具体的には、「売主だけが知っているセールスポイント」で他の物件との差別化を図ります。

例えば、「冬でも日当たりがよく暖房いらずの暖かいリビング」「夏にはリビングから花火大会が楽しめます」「駅まで徒歩3分で、車いらずの生活を送っています」など、住んでいるからこそわかるポイントが望ましいでしょう。

これらの情報は、売主自身が長年暮らしてきた中で感じた魅力であり、不動産会社では決して気づけない「物件の個性」となります。また、買主は「自分がその家に住んだらどんな生活になるのか」を必ず想像しますので、難しい言葉は使わず、具体的で誰でもイメージしやすい表現を使うことを心がけてください。

キャッチコピー欄は、物件情報全体の「顔」とも言える部分です。買主がタップするかどうか、内見を検討するかどうかの最初の分岐点になります。売主として、自分が住んでいた家の良さを最大限に伝えるために、ここでの表現にはこだわりましょう。不動産会社に任せきりにせず、自らの視点でお勧めポイントを提案することが大切です。

トップ画面の1枚目に一番自信のある写真を掲載する

目を引く写真を掲載しよう

ポータルサイトへ写真の掲載をする際、気をつけておいてほしいことがあります。

それは、購入検討者の目に最初に入るのは「トップ画面の写真」だということです。

現在、不動産情報を検索する人の多くはスマホを利用していますが、小さなスマホでポータルサイトを開いた際に、表示される物件の情報量は限られています。

特に、最初のトップ画面では、サイトによって若干の違いはありますが、物件の概要とともに、写真は1枚か2枚しか表示されません。

スマホの小さな画面で一瞬にして物件の良し悪しを判断されてしまうため、だからこそ、購入検討者の目に留まる写真が必要になります。

1枚目の写真が曇った空の外観写真や生活感のありすぎる室内写真、また何が写っているかもわからないような写真や購入検討者にとって意味のない写真だと、その物件に良い印象は抱きにくいですよね?

だからこそ、その物件の中で最も魅力的に見えるポイント、つまり物件の最もアピールしたいポイントを1枚目の写真に選ぶことが重要なのです。

例えば、広々としたリビングや普段では絶対に味わうことのできない眺望などがあれば目を引くでしょう。

また、この時に載せる写真は、第三者に選んでもらうことも有効です。当事者である売主や不動産会社だと、どうしても検討者目線で見ることが難しくなります。関係のない第三者が見て、最も魅力的に映る写真を他者目線で選んでもらうことがポイントなのです。購入検討者の視点に立ち「この物件をもっと見たい」と思わせる写真をぜひ意識してみてください。

1枚目の写真がどれだけ目を引くかによって、詳細情報をタップして見てもらえるかどうかが決まると言っても過言ではありません。だからこそ、1枚目にはその物件の中で最も魅力的かつ目を引くような写真を選ぶことが極めて重要なのです。

家の売り方大全
(画像=家の売り方大全)
家の売り方大全
谷崎 真吾(たにざき・しんご)
株式会社ウィルステップ代表取締役/株式会社SMILE’s取締役。
広島県生まれ。大学卒業後に総合不動産会社へ入社し、中古住宅の仕入と販売に従事。
中古住宅とお客様の特性や行動心理を徹底的に分解・分析し、赤字事業部を半年で黒字化。
その後も安定して成果を上げ続け、会社創立以来最年少の事業本部長に就任。九州地域ナンバーワン企業、株式上場へ大きく貢献。
2021年に不動産コンサルタントとして起業し、同年に株式会社ウィルステップを設立。2023年には株式会社SMILE’sを立ち上げ、リフォーム事業を展開。
現在は、これまで中古住宅売買に3,000件以上携わってきた実績とノウハウを活かし、中古住宅事業への新規参入支援、営業社員の教育、リフォームプロデュースなど幅広く行っている。
著書に『売れる営業がお客様に会う前にやっていること 初対面の7秒で絶大な信頼を勝ち取る』(日本実業出版社)がある。
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