本記事は、内藤 誼人氏の著書『科学的に証明された 最速でメンタルを回復させる心理学』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

科学的に証明された 最速でメンタルを回復させる心理学
(画像=Kris_Tan/stock.adobe.com)

ポジティブな言葉かけの落とし穴

ポジティブ・シンキングに関する自己啓発本を読んでいると、自分自身にポジティブな言葉かけをするといいですよ、というアドバイスが載せられています。
「私なら、うまくやれる!」
「私なら、絶対に成功する!」
「私は、幸運の女神に愛されている!」
こんな感じの言葉かけを、自分自身に向けてどんどんやったほうがいいというのです。
本当に、このやり方はうまくいくのでしょうか。
カナダにあるウォータールー大学のジョアン・ウッドは、「残念ながらうまくいかない人もいる」ということを実験的に確認しました。

人によっては、むしろポジティブな言葉かけは逆効果になる可能性すらあるので、やらないほうがいい、とも注意しています。
ウッドは、249名の大学生に自尊心テストを受けてもらい、その得点によって自尊心が高いグループと低いグループにわけました。
さらにウッドは、言葉かけについて「役に立つと思いますか?」「気分がよくなるというより、悪くなることもありますか?」とも聞いてみました。すると次のような結果が得られました。
数値を比較してもらえれば一目瞭然なのですが、自尊心が低い人ほど、ポジティブな言葉かけが「役に立たない」と感じており、しかも「悪くなることもある」と考えていることがわかります。
だいたいポジティブな言葉かけを本当に必要としているのは、自尊心が低い人。
自尊心が高い人は、もともと自信があって、自分のことを嫌ったりしていないわけですから、そういうタイプにはポジティブな言葉かけなど必要ありません。ポジティブな言葉かけが必要なのは、自尊心が低い人です。
にもかかわらず、自尊心が低い人ほど、ポジティブな言葉かけは逆効果なのです。
なぜかというと、自尊心の低い人は、「私なら、やれる!」と自分にいくら言い聞かせようとしても、「…いや、でも、どうせうまくいかないんだろうな、人生でうまくいったことなんて一度もないんだから」と、結局は悲観的なことを考えてしまうからです。
というわけで、自尊心が低いという自覚があるのなら、ポジティブな言葉かけなどしないほうがいいのかもしれません。

科学的に証明された 最速でメンタルを回復させる心理学
(画像=科学的に証明された 最速でメンタルを回復させる心理学)
科学的に証明された 最速でメンタルを回復させる心理学
内藤 誼人(ないとう・よしひと)
心理学者、立正大学客員教授、有限会社アンギルド代表取締役社長。慶應義塾大学社会学研究科博士課程修了。社会心理学の知見をベースに、ビジネスを中心とした実践的分野への応用に力を注ぐ心理学系アクティビスト。趣味は釣りとガーデニング。著書に『不安や悩みがすぐに軽くなるアドラー心理学』『人間関係に悩まなくなるすごい心理術69』(以上、ぱる出版)、『いちいち気にしない心が手に入る本:何があっても「受け流せる」心理学』(三笠書房)、『「人たらし」のブラック心理術』(大和書房)、『世界最先端の研究が教える新事実 心理学BEST100』(総合法令出版)、『気にしない習慣 よけいな気疲れが消えていく61のヒント』(明日香出版社)など多数。その数は250冊を超える。

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