中国人富裕層の「外国志向の強さ」
医療についても診療費が高額な一方、ずさんな医療行為が横行しているといわれる。2013年11月には安徽省の病院で、死亡と診断され葬儀場に運送された新生児に息があることに葬儀場職員が気づき、病院に再搬送されるという事例が報告された。また中国の医療機関はその収入源を医薬品販売に依存しており、過剰な医薬品使用が問題となっている。実際、国民一人あたりの点滴消費量は年間平均8袋と先進国を大きく上回る基準に達し、点滴の過剰使用により年間10万人が死亡しているといわれている。
このように中国人富裕層の消費には現在の中国の国情を反映した「健康・美容意識の高さ」、「外国志向の強さ」という特徴が強くみられるのである。
上記の特徴は、高品質の製品・サービスで国際的な評価の高い日本にとって、中国人富裕層が極めて有望なマーケティングの対象となり得ることを示している。
日本も医療ツーリズム需要の取り込み急務
2015年、中国経済は低成長に入るとの見通しだが、消費はまだまだ活発に推移していく可能性が高く、このような中国人富裕層による医療ツアーを含む消費は今後さらに拡大していくと考えられる。またアジアの周辺国による中国人富裕層の消費争奪戦も今後益々活発化するだろう。実際、韓国政府は韓国整形手術などの医療ツーリズムによる中国人富裕層の取り込みをさらに強化する方針を打ち出している。
一方、日本は高い医療サービスレベルなどの優位性がありながらも、この医療ツーリズムの需要を十分に取り込めていないのが現状である。今後は、医療ツーリズムに対する官民一体となった制度・体制の整備が急務となるのは間違いない。
(ZUU online)
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