国際的に戦える農業へのサポート機関になれているのか
今回の農協改革による農家へのメリットはまだよく見えてこない。実際、農協関係者のみならず、安倍首相の身内であるはずの自民党議員からもそのような声が漏れ聞こえてくる。
農政改革を断行したEUがいい例になるかもしれない。EUは1993年に穀物価格を3割引き下げ、価格引き下げ分を政府による直接補填で農家への支援を行った。この結果、EUの小麦価格は小麦相場を握るシカゴの相場を大きく下回ることとなり、国際的競争力が強化され農家も潤うこととなった。今の日本でこのような改革を行おうと考えた場合、農家を保護する名のもとに高価格を維持しようとする農協により阻まれ実現困難だ。
これからTPPにより今以上の国際的競争力が求められることになってくる。豊富な金融資産と選挙での集票力を持つJAの力が強いうちは、農業の世界的競争力という視点での改革は遠いだろう。農協が農家に国際的競争力をつける支援を行うことが先決ではあるが、JAバンクやJA共済事業がメインになりつつある現状では難しいところだ。
足元を見つめた「本業への回帰」。農協自身にも内部からの改革が今以上に求められている。
(ZUU online)
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