ヒトiPS細胞樹立を理由として京都大学の山中伸弥教授がノーベル賞の受賞したり、政府からの強力なバックアップも得られたりするなど、次の成長産業として注目される分野の一つである、再生医療。
社会からの注目度や期待度はまだまだ高いものの、再生量技術を活用し、細胞シートの製造・販売などを行うベンチャー・セルシードが、収益化に苦戦しているようだ。2月16日に、同社が公表した昨年の決算が約6億円の赤字となり、明らかになった。
セルシードは、再生医療技術を用いて、目の一部である角膜の一部や、喉の奥と胃の間にある食道の一部の治療に用いる細胞シートの製造・販売事業を推進するバイオベンチャー。ほかにも、軟骨や心筋の疾患の治療のための細胞シートの製造の進める。
同社が今回、公開した決算では、2014年12月期の決算では、売上高が8600万円。営業利益は、約6億円の赤字となった。セグメント別にみても、厳しい状況が続いており、細胞シートの再生医療事業については、細胞培養施設の稼働準備を進めてはいるものの、約3150万の赤字に終わった。
もう一つの主なセグメントである、再生医療支援事業についても、細胞培養のための機材の販売で、大日本印刷との製造委託契約の締結などを進めてきたものの、売上高が約8632万円となり、営業損失は約3157万円という結果に落ち着くなど、いずれのセグメントでも赤字を計上するなど、収益化に向けてまだまだ努力が必ようとされている実態が明らかになった。
他方で、再生医療分野の研究開発につていは同社が積極的に推進しているのも事実だ。今回の決算発表と併せて、スウェーデンにセルシードの子会社が設立したと発表されており、再生医療の研究開発が盛んなスウェーデンで、細胞シート再生医療事業の積極推進を図っている。
今後、セルシードの再生医療事業が収益化されるのかどうか、また再生医療が次の日本経済の成長エンジンとなれるかどうか、引き続き動きを細かくウォッチする必要がありそうだ。
(ZUU online)
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