スカイマークの誤算
会計数字から同社が既存事業の利益を食いつぶしてでも新型機の導入に注力していたことがわかる。しかし、新型機の導入による機材費や訓練関連費の増加は同社の想定を上回った。また2015年3月期に入ってからの急激な円安も、国際線への事業展開に思わぬ逆風になったのである。不採算路線の廃止などの努力もむなしく、第3四半期決算で同社は87億円の事業損失を計上している。
この『事業損失』は一般的に企業の『粗利』を意味している。『粗利』がマイナスということは、事業を継続すればするほど赤字を垂れ流すことを意味している。そのような状況のなかで、さらに、世界一と言われる大型機A330型機の購入契約が状況を悪化させる。
通常完成まで時間のかかる航空機などは、完成前であっても一部製造にかかった費用を負担しなければならない。生産工程に合わせて前払いで支払を行い、完成時に残りの代金を支払うという契約になる。同社の2014年12月時点の前払いは、255億円にのぼる。解約違約金は200億円規模と想定されるため、この前払いはほとんど回収できないと考えられる。
焦りが招いた悲劇
LCCの増加による価格競争から脱却すべく、国際路線拡大へ挑戦したスカイマークであったが、事業の組み立てに強引すぎる部分があったのは間違いないだろう。これまで大手航空機会社の半額程度の料金で運行していた同社であるが、さらなる低料金事業者の参入により、自社の強みにブレが生じてしまった。
事業方針を見直さなければならないという“焦り”から国際路線への拡大、大型機の導入という選択が生まれた。A380型機は世界一の贅沢機ともいわれるほど高額な航空機で、JALやANAを含め日本ではスカイマークしか導入していない。焦りから生じた安易な事業転換であったと言えるだろう。
(ZUU online)
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