溢れたマネーはどこへゆく?投資先に頭を悩ます年金運用担当者
(写真=Thinkstock/Getty Images)

2014年10月末、日銀黒田総裁は、消費者物価の前年比上昇率2%の「物価安定の目標」を念頭に置き、マネタリーベースおよび長期国債・ETFの保有額を拡大し、長期国債買入れの平均残存期間を延長するなど、いわゆる「異次元の金融緩和」に踏み切った。マーケットは表面的には好感しているかのように見えるが、運用現場には大きな混乱が生じている。


運用現場の悲痛



「国債を調達してください。金額は5億円、残存期間は5年。」「申し訳ございません。当行ではそれだけの国債を準備することはできません。」地方公共団体の資金運用担当者と金融機関の間ではこうしたやり取りが日常的なものとなっている。

地方公共団体の資金運用は地方自治法によって一定の制限が設けられている。資金を積み立て、定額の資金を運用するための基金を設けることができるとされている。一方で、積立金は、銀行その他の金融機関への預金、国債証券、地方債証券、政府保証債券その他の証券の買入れ等の確実な方法により運用しなければならないとされているのである。

国債は地方自治体の巨額の資金の運用の受け皿となって来た。学校法人や宗教法人においても、国債は資金運用の重要な受け皿となっている。リーマンショック後、多くの大学や財団、宗教法人、さらに地方公共団体で運用の失敗が表面化し社会問題化した。「公的な財産はリスクに晒すべきではない」という風潮が強まり、公的な性質を持った資金は国債に投資せざるを得なくなっていたのだ。


大量償還を迎えた仕組み債



需給関係に大きな歪みが生じているのは国債だけではない。仕組み債が大量に償還を迎えている。仕組み債とは元本や利払いが株価や通貨によって変動するよう、オプションやデリバティブを組み合わせて、通常の債券よりも高い利回りをうたった金融商品だ。高い利回りが得られる反面、株価や為替の動向によっては元本割れで償還される可能性(ノックイン)や満期を待たずに早期償還される可能性(トリガー)がある。

日本株の上昇を受けて、日経平均株価に連動する仕組み債が昨年末から大量に早期償還されている。現金を手にした投資家は、再び仕組み債へ投資するが、日経平均株価の上昇が継続しており、再投資した仕組み債も再び早期償還されている。もはや、仕組み債の組成に影響が出るほど需給関係に歪みが生じているのだ。