タワーマンションの評価額

一方、マンションの建物評価額は、一棟の建物評価額を単純に専有面積案分して求めているだけだ。つまり、2階にある北向き75㎡の中間部屋と最上階にある南東75㎡の角部屋の評価額は変わらない。

土地の評価額についても、共有持ち分として全敷地の評価額が専有面積案分されるだけであるため、2階にある北向き75㎡の中間部屋と最上階にある南東75㎡の角部屋は同じ評価額となる。


高層階ほど差が出やすい

このため、タワーマンションで階数が高かったり、南東の角部屋だったりなどの条件が良くなれば良くなるほど、市場価格が上がるため、評価額の差額が大きくなる。相続対策としては、この差額を利用することになる。相続が発生する直前に、タワーマンションの最上階を購入して、相続のプロセスを乗り切った後、すぐに売却するという手法だ。


税務調査を受けるケースが散見される

しかしながら、この手法を使った場合、税務調査を受けるケースが最近増えている。税務調査を受けると、評価額ではなく実際の売却額で相続税を再計算され、追加の課税を受けてしまうケースもあるようだ。

例えば、評価額が5,000万円で売却額が1億円の場合は、1億円の資産としてそのまま課税されてしまう。具体的にどのような場合に税務調査が入るという明確な基準はないが、マンション購入の時期から相続と売却の時期が近接している場合は怪しまれるようだ。


気を付けたい潜在リスク3選とは

したがって、この手法では潜在リスクが3つ存在することになる。まず「税務調査を受けるリスク」がある。こればかりは予測ができないが、もし税務調査が入ってしまえば、アンラッキーだったと言わざるを得ない。次に、短期間で購入と売却を行うため、不動産取得税や仲介手数料などの流通コストが短期間でかさむことになる。

そのため、「資産が思った以上に目減りするリスク」がある。この点については、リスクとして認識することなく忘れがちであることが多いため、その金額も含めて相続対策を考えた方がいいだろう。

また、売却するとき、購入者は新築を好む傾向があるため、築1年以上経って新築と呼べなくなった場合、「価格下落リスク」が生ずる。相続のプロセスを経て、1年以内に新築未入居の状態で売買するのは、実際はかなり難しいであろう。

特に違法な相続対策をしているわけではないが、なんとなく短期間で売り買いを繰り返すという部分に、怪しい印象を与えてしまう。そのため税務署が目を光らせるのは仕方ないのであろう。いづれにしても、タワーマンションの高層階を利用する手法については、しっかりリスクをちゃんと見極めてから選択した方が安全だろう。(ZUU online 編集部)

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