国内経済にようやく変化の兆しが見られるようになってきた。いよいよ景気後退を抜け、新たなステージへの展開を予感させる。3月9日に内閣府より公表された14年10-12月期の国内GDP第2次速報では、年率1.5%増と、同4-6月期マイナス6.6%、同7-9月期マイナス2.6%の後を受けて、ようやくプラス圏となった。
過去2四半期マイナス成長したことから、規定上はリセッション入りをしていたと見られてきたが、なんとかこのリセッションからは回復を果たすことができている。ただ、エコノミストからは大きなリバウンドが期待されていたが、結果として公表数値は伸び悩むこととなった。
政府が2月13日に閣議了解した見通しによれば、2014年度の実質GDP成長率はマイナス0.5%と、年間でマイナス成長に陥っている状況を踏まえた予測だが、2015年度については1.5%増へ回復する見通しを示している。需要項目別では輸出が2四半期続けて高い伸びとなったのに加えて、在庫投資についても前期より押し下げ幅は縮小している。
消費増税の反動減は収束へ
消費税引き上げ前の駆け込み需要と、その後の反動減は当初の想定を上回り、個人消費の回復を遅らせる要因となってきたが、すでにこの下押し圧力は収束しており、今後、所得改善が進めば支出の増加につながると予想されている。
消費税引き上げから9ヶ月以上を経て、ようやく訪れる消費の回復局面だ。GDPの6割以上を個人消費が占めるわが国では、この改善状況は重要なポイントとなる。
原油価格の下落がそろそろ景気回復に寄与
エネルギー輸入国のわが国にとっては、原油価格の下落は確かに現象的にインフレを抑制する要因として機能することにはなったが、本質的にはさまざまな製造コスト抑制にもつながる。景気にプラスの影響をもたらすのは価格下落から半年後ぐらいと見られている。
三菱東京UFJ銀行の試算によれば、10%の原油下落は、輸入金額を年間1.4兆円減少させることになり、最終的に個人消費と設備投資合計で0.5兆円、GDPベースでは0.1%押し上げる効果を持つとされている。