ヘルスケア・バイオ
(写真=Thinkstock/Getty Images)

ヘルスケア・バイオ関連の投資ファンドがいま注目を集めている。株式・投信情報を提供する調査会社QBRの調べでは、2015年3月末時点でのグローバル株式ファンド年間上昇率ランキングで、上位1位から8位までをヘルスケア・バイオ関連のファンドが独占している。

なぜ、いまこうした現象が起こっているのだろうか。


売れ筋ファンドのキーワード

売れ筋となるファンドにはある共通する『キーワード』の存在が見て取れる。欧州危機、リーマンショックを契機とし、「新興国・高金利通貨・資源国」といったキーワードに注目が集まり、これに関連したファンドに人気が集中した。

その後、「REIT(Real Estate Investment Trust:不動産投資信託)」が注目を集め、現在は「ヘルスケア・バイオ」がその座を奪おうとしている。

投資信託の販売裾野は広い。証券会社から郵貯まで、多くの金融機関が投資信託を手掛けているため、経験豊富なプロの投資家から投資初心者まで、幅広い顧客層が投資信託の購入層となっている。

販売側は、個々の顧客の投資経験やリスク許容度、投資方針に応じたファンドをその都度提案しているだろうが、対象とする顧客層が広いため、どうしても売れ筋となっている商品を中心とした提案になりがちだろう。

キーワードに準じた特定のファンドに人気が集中する背景には、こうした事情が関係しているものと考えられる。


急速に増加する純資産残高

ヘルスケア・バイオファンドの運用で、10年を越す長期の実績を誇るのが、国際投信投資顧問の「グローバル・ヘルスケア&バイオ・ファンド」だ。3年前の12年3月末時点でのファンドの純資産残高は、わずか3億円あまりに過ぎなかったものの、13年3月末には約4億円、14年3月には約180億円、そして15年3月末には約1,856億円と、年々急速に純資産残高を伸ばしている。

過去一年間の増加分だけを見ても、いかにヘルスケア・バイオ関連ファンドが急騰しているかは明らかだ。この一年で、売れ筋ファンドのキーワードは「ヘルスケア・バイオ」に完全に取って代わったと言える。


米国金利上昇への備え

ヘルスケア・バイオファンドが人気を集めている背景には、米国金利上昇への備えもあるようだ。米国は現在、金融政策における歴史的な転換期に差し掛かっている。

2008年12月から続く事実上のゼロ金利政策を終え、近々利上げに踏み切る可能性が高まっているからだ。

2013年5月には、米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長(当時)が、量的緩和の縮小を示唆したことがを受け、新興国通貨が大量に売り込まれた。

金利の上昇はREITにも悪影響を及ぼすことが予想され、こうした事態を警戒する投資家の受け皿となっているのが、ヘルスケア・バイオファンドというわけだ。

投資家にとっても、このセクターの将来予測はイメージしやすい。先進国の高齢化や新興国の人口増加・経済発展が、ヘルスケア・バイオ関連分野の成長に繋がることは想像に難しくないからだ。景気や地政学リスクの影響を比較的受けにくいことも、投資家に好印象を与えているだろう。


好調でも、リスクの過小評価は危険

ヘルスケア・バイオファンドのパフォーマンスは良好だ。日銀の追加金融緩和、中国の利下げ、欧州中銀の量的金融緩和の決定に加え、ヘルスケア・バイオ関連分野における巨額の合併・買収(M&A)が相次いで発表されたことも影響し、関連株価は順調に推移している。

しかし、リスクを過小評価するのはまだ危険だ。これらのファンドの多くは、投資対象が米国に偏重している。

がんの免疫療法を目的としたバイオ医薬品の開発に力を入れているブリストル・マイヤーズ スクイブや、アルツハイマー治療薬の開発に新規参入したアクタビスなどが銘柄の上位にあたるが、医療関係者などでない限り、こうした企業の将来性を予測することは極めて困難だからだ。

将来的には医薬品や医療サービスに対して、価格抑制圧力が加わることは十分に考えられる。米国の金利上昇が、ヘルスケア・バイオ関連分野の株価に下方圧力を加えないという保証も無い。

もちろん、為替リスクも無視できない要因だ。そして、ヘルスケア・バイオファンドの多くは、相対的に手数料、信託報酬が高く設定されているものが多く、高コスト体質であることも念頭に置いておく必要があるだろう。(ZUU online 編集部)

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