通話やメッセージのやり取りに加え、カメラ、オーディオとしての機能も備えるスマートフォン(スマホ)は、現代の生活に不可欠なものとなりつつある。その新たな役割に加わりそうなのが、鍵の開閉ができる「スマートロック」で、すでに関連サービスが続々と立ち上がっている。

スマートロックとは、ドアの施錠、開錠をスマホなどのアプリを使って行うものだ。合鍵の作製や鍵の送付が可能で、鍵の有効期限や使用時間を利用者ごとに細かく設定したり、ドアの施錠の履歴を管理したりすることもできる。

実物の鍵では不可能だった機能がさまざまに手に入り、例えば、自宅でパーティを催す際に、時間帯を設定して招待客に合鍵を共有するといった使い方ができるようになる。


活用され始めたスマートロック

株式会社フォトシンスはスマートロック「akerun」を開発し、NTTドコモ <9437> およびNTTドコモ・ベンチャーズと共同で、国内ホテルでのスマートロックを用いたプロジェクトを開始した。

このサービスにより、フロントでのチェックイン・チェックアウト手続きが不要となり、ホテルに到着後、すぐに部屋に出入りすることができる。フロント受付にかかる時間を大幅に短縮する狙いだ。

家事代行マッチングのエニタイムズと連携したサービスも試験的に開始した。家事代行者の入退出を管理し、円滑なサービス提供を追求する。

株式会社WiLとソニー <6758> は共同で出資を行いスマートロックの開発、製造販売を行うQrio株式会社を設立した。スマートロック『Qrio Smart Lock』は一般への販売が予定されている。

また、玄関に取り付けるドアの鍵の他にも、電通ブルーが南京錠型のスマートロック「246 Padlock(ニーヨンロック パドロック)」の販売を開始した。鍵を忘れたり失くしたりする心配はなくなるだろう。


電子化された鍵の可能性

鍵が電子化されることで、他のスマホなどのアプリケーションと組み合わせることができ、今までにない利便性を実現できる。

楽天 <4755> は日本郵政と提携して、通販商品の受け取りロッカーサービスを開始した。楽天で商品を購入した際、郵便局に設置されたロッカーを指定し、送付されたパスワードを入力すると商品を受け取ることができる。ここではパスワードという形で電子化された鍵と、スマホによる個人の認証という機能が組み合わされ、受け取りに要する手間を大きく省くことができる。

同じような例は駅のコインロッカーのサービスにも広がっている。阪急電鉄は阪急梅田駅構内にあるコインロッカーの一部を電子マネー「Pitapa」で利用できるようにした。コインロッカーの施錠、開錠、支払いを「Pitapa」で済ませることができる。電子化された鍵と支払い機能が一体となったことで利便性が大きく向上した例であり、今後は、おサイフケータイ機能を持つスマホでも利用できるようになるだろう。

さらに、カーシェアリングへの展開も期待できる。カーシェアリング大手、パーク24 <4666> はトヨタ <7203> と提携し、東京都心で乗り捨て型のカーシェアリングサービスを開始した。カーシェアリング比較360°によると、カーシェアリングの登録車両台数は2013年末に比べ、2014年第1四半期は6.2%増加しており、市場は順調に拡大している。

車の鍵の管理、個人認証、そして料金の支払いまでをスマホ一つで操作できるようになれば、カーシェアリングの利便性は大きく向上するだろう。

ベンチャー企業が開発したスマートロックが、スマホなどの端末の役割を拡張させるとともに、既存ビジネスのICT化を一気に押し進めるかもしれない。(ZUU online 編集部)

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