2014年 日本経済

こんにちは。今年ももう残りわずかとなり、皆さん新年の準備をし始める頃だと思います。2013年の投資・運用成績はいかがだったでしょうか?良かった方も、あまり奮わなかった方も、2014年はまた新たな戦略を立て、しっかりと準備をして臨みたいものです。2014年もNISAのサービス開始、厚生年金基金制度改革法の施行、ブラジルW杯の開催、消費増税実施などの多くのイベントが控えているだけに、引き続き経済やマーケットの動きに注目していく必要がありそうです。

【参考】
2014年、日本経済大予測!vol1~各経済誌の注目業界と予想のまとめ~
2014年、日本経済大予測!vol2~身近な注目業界と見通しのまとめ~
2014年、日本経済大予測!vol3〜展望を占う5つの重要キーワード〜
2014年、日本経済大予測!vol4~各経済誌の株式・為替相場見通しのまとめ~
2014年、世界経済大予測!vol1~欧米中・新興国の株式・為替相場予想のまとめ~


●2014年の国内主要業界予想のまとめ


さて今回の記事では、日本国内の産業のうち主要業界が2014年においてどのような変動を見せるのかについて、 「業界大予測2014」(洋泉社MOOK) 「2014徹底予測」(日経BP社) 2誌の業界予想記事のまとめ という形でお届けしたいと思います。第1回である今回は、特に2014年における注目業界に絞ってお送りします。具体的には 「自動車」「電機」「ネット・メディア」「エネルギー(電力)」「素材」「商社」の6つの業界 について、各誌の2014年の展望をまとめていきます。


●2014年日本経済の注目業界①「自動車業界」


両誌ともに、見解としては

・米国市場・中国市場の2大市場で如何に利益を出せるか

・国内は税制動向により需要の鈍化が懸念

・新興国市場は依然期待度は低い

という3点でおおむね共通しているようです。

※以下、洋泉社MOOK→(洋)、日経BP社→(日)と略します。

米国市場 に関しては、「2013年の総需要がリーマンショック後初めて1500万台を突破する見込みであり、 2014年も緩やかな回復基調は続きそう 」(日)だと予想されています。 2008年の底打ちから順調な回復 を遂げていると言えそうです。特に「台数の伸びだけでなく 市場の構造変化 が起きている点」(日)も注目すべきポイントだと言えます。具体的には、 ガソリン価格の高騰で低迷していた大型車が市場を牽引 し始めているそうです。その理由としては、①ローンの負担が少ない低金利が続いていること、②シェールガス革命によって将来的なガソリン価格高騰への消費者の懸念が薄らいだこと、が主な要因です。

リーマンショック以降、日系メーカー各社はハイブリッド車や小型車など環境性能の高さを売りにした車種を充実させる戦略を取っていますが、短期的には市場環境の変化に対応せざるを得ない以上、 米国の市場において日米両メーカーの競争が激化 しそうだと予想されています。 中国市場 も現在は尖閣問題の影響などが依然残ってはいるものの、 李克強首相の経済政策 による内陸部の都市化による市場成長などで今後 急速な回復 が見込めそうです。この2大市場でいかに確実に利益を出せるかどうかにかかっていると言えそうです(日)。

国内市場 に関しては、「5%→8%の消費税引き上げが14年4月に実施され、国内自動車需要の 鈍化は避けられない だろう」と言われています(洋)。一応の対策として自動車取得税の段階的な軽減など消費者の負担減を求めているものの、過去2度の補助金、エコカー減税などで需要は相当掘り起こされたと考えられるので、 減税のインパクトは予想以上に大きくなる可能性 もあると言えそうです。また環境性能に応じた新たな税金制度の創設も検討されており、高級車・軽自動車の負担が重くなることで さらに国内自動車市場を冷やしてしまうリスク もあると言われています(日)。

新興国市場 は、タイ・インドネシア・インド・ブラジルなどの期待は低く、 減速感は否めない と両誌共に述べています。今後これらの国々で想定以上に経済情勢が悪化した場合、波乱リスクが高いため業績成長の思わぬ障害になり兼ねない(洋)と予想されています。


●2014年日本経済の注目業界②「電機業界」


国内電機大手の業績については、

・日立・東芝・三菱電機などの「総合電機」系と、パナソニック、ソニー、シャープなどの「家電系」とで明暗がはっきり分かれた。

というような内容を両誌ともに論じています。

洋泉社の引用データによると、総合電機各社が過去3年間で最終利益を計上しているのに対し、家電系は大きな最終損失を計上しています。中でもパナソニックは11、12年度と2年続けて8000億円近い最終損失となっています。

この主な理由について洋泉社は、 「総合電機の方が家電系と比べて、半導体やフラットパネル、太陽光パネルをはじめとしたデバイス事業からの撤退や縮小が早かったからだ」 と述べています。総合電機各社はPCやスマートフォンなどのデジタル家電関係のデバイス事業の比率を縮小していたことで、日本の総合電機各社が競争優位を確立出来なかった市場から早めに抜け出すことが出来、業績が大きく悪化することを避けられたのが奏功したそうです。大きく損失を計上したパナソニックも、14年3月までにテレビやスマートフォン事業からは撤退することでコスト削減を図ると言われています(日)。

このようにデバイス事業から早い段階で抜け出した総合電機各社ですが、一方でコア事業として残したインフラ事業も苦しい状況にあると、洋泉社は述べています。また今後はグローバルにインフラ事業を展開し、また資金調達に長期でコミット出来る企業が競争優位を確立していくだろうとも述べています。ただし、その場合は数年にわたり資金を調達する必要が生じます。加えて、海外における拡大を図るためには自前で事業を育てるよりもM&Aによる成長も重要となるため、競合企業に対して圧倒的は株主資本を持つインフラ企業を作らないといけないと言えるようです。

日経BP社によると、家電系の各社に対する評価は、パナソニックやシャープは「業績底打ち」、ソニーは「スマホ普及によるパソコン・デジカメの苦戦」となっています。また総合電機の東芝や日立については設備投資需要が収益の牽引になるだろうとの予想を述べています。