2014年 日本経済

こんにちは。今回は、前回の「 2014年、日本経済大予測!vol1~各経済誌の注目業界と予想のまとめ~ 」に続いて、業界予想の第2回をお届けします。今回は私たちに馴染みの深い各種の業界を扱った、「~身近な注目業界編~」という切り口でお届けしたいと思います。具体的には、「コンビニ」「百貨店」「スーパー」「食品」「ホテル・旅行」「外食」の6つの業界について、 「業界大予測2014」(洋泉社MOOK) 「2014年徹底予測」(日経BP社) の2誌の主張を中心にまとめていきたいと思います。

【参考】
2014年、日本経済大予測!vol1~各経済誌の注目業界と予想のまとめ~
2014年、日本経済大予測!vol2~身近な注目業界と見通しのまとめ~
2014年、日本経済大予測!vol3〜展望を占う5つの重要キーワード〜
2014年、日本経済大予測!vol4~各経済誌の株式・為替相場見通しのまとめ~
2014年、世界経済大予測!vol1~欧米中・新興国の株式・為替相場予想のまとめ~


●2014年日本経済の注目業界①「コンビニ業界」


まず、両誌共に「国内競争の激化」を指摘しています。洋泉社は「大手3社だけで3000店舗を超える新店舗が誕生しており、(中略)日本中がコンビニであふれかえりつつある」と述べていますし、日経BP社も「コンビニ戦線は拡大を続けており、大手の3社(セブン、ローソン、ファミマ)の攻勢にさらされており、かつ投資余力に劣っている4位以下のコンビニは厳しい環境に置かれている」と指摘しています。現在コンビニは業界全体として消費者密着の方向に向かっているので、中小コンビニといえども容易に経営が悪化することはないものの、物流・品質の面で他社との差別化が図れていないまま中途半端に広域展開しているところは苦戦が続くだろうとも言われています。

また、今後さらに過熱しそうな異業種との競争についても、両誌共に指摘しています。2013年夏にはドラッグ2位のサンドラッグが既存のドラッグ店をコンビニに改装するなど、日常消費をめぐる業種ごとの住み分けは、意味をなさなくなってきていると言えそうです。店舗数ではコンビニ同士ではなく100円ショップやディスカウントショップなどが有力な競合相手となっている地域もあり、今後は派生的にまったく新しい業界が生まれる可能性もあると言われています。

日経BP社はさらに「海外展開がカギを握る」点についても着目しています。現在コンビニ大手各社が中国や東南アジアを中心に店舗網を急速に拡大しています。国内でこそ劣勢に立たされているサークルKサンクスもマレーシアに進出し反転攻勢に打って出るなど、今後文化などの壁を越えて新たな成長モデルを海外においても確立することが出来るかどうかで、コンビニ各社の勢力図も大いに変化していく可能性がありそうです。


●2014年日本経済の注目業界②「百貨店業界」


洋泉社は「百貨店の収益に追い風が吹きつつある」として、2014年もその傾向が続くと見ています。2012年の全国百貨店売上高が前年比を16年ぶりに上回り、長引くデフレ不況からようやく抜け出した感があります。消費の傾向が低価格指向一辺倒から高価格帯商品に徐々にシフトし始めたのが要因だそうです。

日経BP社も同様も見方を示しつつ、さらに2014年にあるビッグイベントの消費税引き上げによる駆け込み需要での販売額拡大を期待しています。3月までは増税前の駆け込み需要として特に高級腕時計や海外の有名ブランド商品などの販売が増加する見込みです。

しかし、両誌共に指摘しているのは、その駆け込み需要が終わり、増税がなされた後の反動減をいかに補えるかというポイントです。洋泉社は1999年の消費税引き上げの前後で売上増減は結局プラマイゼロに終わったことを引用し、「消費税引き上げ前の特需は神風ではない。百貨店がそれをきっかけにしていかに息の長い消費につなげられるかが決め手となる。」として、増税後の新たな打ち手の必要性を述べています。

その打ち手として、日経BP社は「外国人観光客の確保」と「インターネット販売の拡大」に着目しています。前者は免税で買い物をする外国人観光客には増税の影響は及ばず、販売へのマイナス影響は生じないからです。2020年の冬季五輪の開催地に選出されたことも、訪日外国人の増加に拍車をかけています。後者は、対等するネット通販専業の企業に対抗するためです。百貨店大手の高島屋は買収したネット通販事業を活用して品ぞろえを拡充しており、三越伊勢丹も電子商取引に詳しい人材を外部から登用するなど競争力の強化を図っています。増税という大きなイベントの前後で売り上げがさながらジェットコースターのようになりそうですが、百貨店大手各社の反動減対策に注目すべき1年となりそうです。