●2014年日本経済の注目業界⑤「ホテル・旅行業界」
消費増税に不安を抱える業界が多い中で、2014年はホテル業界を含む旅行産業にとっては好機の1年となりそうです。洋泉社はその最大の理由はやはり2020年に開催が決まった東京オリンピックだと述べ、特に東京のホテル業界はバブル崩壊後から現在まで悩まされ続けてきた構造不況を転換しうる具体的な目標を描けたことが大いにプラスに働くと見ています。また、オリンピックだけでなく、富士山の世界遺産登録、カジノ解禁なども観光業界や各自治体にとって期待要因となりそうです。実際に大都市圏のホテルはアベノミクスによる円安進行や株価上昇などで業績回復傾向が鮮明に出ています。今後はオリンピックに向けて営業展開・社内体制強化に力を入れていくことになると予想されています。2014年はそのスタートの1年になるでしょう。
また2014年は、外資系高級ホテルの日本進出が相次ぎそうです。五輪開催決定を見据えてというわけでは必ずしもなさそうですが、東京・大手町にはアマンリゾーツグループが、虎ノ門には米ハイアットグループがそれぞれ新ホテルを開業させるなど、今後も新たなホテル建設計画が持ち上がる可能性は高いでしょう。しかし今後1年のうちに新規開業が予定されるホテルの数の多さは稀であり、ともすれば供給過剰に陥る恐れもあります。ただし業界全体としては好況であると言える現状であり、今後も宿泊需要の増加とともに更なる成長が期待できそうです。
●2014年日本経済の注目業界⑥「外食業界」
両誌共に、外食業界は苦戦している印象を述べています。洋泉社は外食産業の市場規模が下落傾向にある原因を「平日の外食ニーズが惣菜利用にシフトし、自宅消費が定着している」点に見出しており、もはや価格訴求型のビジネスモデルは限界に来ているため、業界の革新が求められていくと述べています。日経BP社も「大手ファーストフードなどの従来の主力戦略であった、低価格メニューで話題を呼び来客数を増やすというかつての戦略はもはや通用しない」として、低価格に慣れてしまった消費者をどのように引き付けられるのかが課題だと見ています。
ただし、原価率の低い麺類系や焼き肉店は縮小傾向にある業界の中で好調を維持しており、吉野家などはそば屋の展開を着々と進めているようです。他にも、従来の主力事業から第二の収益源とすべく新しい業態の開発を急いでいる企業は多く、不振が続く居酒屋チェーンやファミリーレストランなどは業態の抜本的なリニューアルを迫られている状況であると言えます。この動きは2014年に入っても引き続き見られそうであり、コンビニエンスストアなどの異業種との競争の中で各外食大手がいかに新たな収益の柱を確立していくかが明暗の分かれ目となっていきそうです。
いかがでしたでしょうか?私たちの身近な業界にとっても来年4月の消費税増税、そして東京オリンピックは大きな影響を及ぼして行きそうです。普段の生活の中でも、これらの業界がどのように私たち消費者に対して戦略を実行しているかに注目しながら生活していくと、様々な発見があるかも知れませんね。
【参考】
2014年、日本経済大予測!vol1~各経済誌の注目業界と予想のまとめ~
2014年、日本経済大予測!vol2~身近な注目業界と見通しのまとめ~
2014年、日本経済大予測!vol3〜展望を占う5つの重要キーワード〜
2014年、日本経済大予測!vol4~各経済誌の株式・為替相場見通しのまとめ~
2014年、世界経済大予測!vol1~欧米中・新興国の株式・為替相場予想のまとめ~
BY:ZUU online編集部(H.O)