かつて日本食の代表と言えば、「寿司・天ぷら・刺身」だった。そこに割って入ったのが「ラーメン」だ。和食がユネスコ世界無形文化遺産に登録されたことで海外での日本食ブームがますます勢いを増す中、最も目立ったのはラーメンの進出だった。そしてそこには、すべての外食産業が肝に銘じるべきヒントが隠されている。


今や日本食の主役格に躍り出たラーメン

新横浜ラーメン博物館の調査によれば、ラーメン専門店の数は世界で約1,000店舗を数えるという。米国はもとより、タイやシンガポール、中国などのアジア各国にも着実に浸透しているのだ。このラーメンの台頭には学ぶべき点が数多くある。


「和食」の高級感と「親しみある食」の融合

これまで和食というと、いかんせん高級感がつきまとってきた。ではラーメンが安価なのかというと、実はそうとは言えない。少なくともその価格は、アジア各国の現地の麺店や屋台の数倍はする。和食としては若干安価に見えても、ストリートフードとしては極めて高価なのだ。

にもかかわらず、海外でラーメンが受け入れられてきたことは注目に値する。もともとアジア各国では麺類が広く親しまれており、ラーメンを受け入れる土壌は十分に育っていた。和食の持つ高級イメージに沿った価格帯をある程度維持しながらも、ストリートフードの延長線上にある「親しみある食」の地位を確保した好事例であり、これが急速な普及の要因であると言える。