地銀
(写真=Thinkstock/Getty Images)

2015年3月、熊本県を拠点とする肥後銀行 <8394> と鹿児島県を拠点とする鹿児島銀行 <8390> が経営統合で最終合意した。そして、4月には三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> 系列で大阪地盤の大正銀行と、香川銀行、徳島銀行を傘下に持つトモニホールディングス <8600> が経営統合を発表した。

これまで銀行の経営統合は幾度となく行われてきたが、この2つの経営統合は今後の地銀再編の流れを象徴づけるものであると、大きなインパクトを与えた。


経営難による経営統合ではない

これより以前には地銀の雄である横浜銀行 <8332> と茨城県発祥で東京都を地盤とする東日本銀行 <8536> の経営統合が発表されていた。しかし、この経営統合は横浜銀行が将来の生き残りが厳しい東日本銀行を飲み込む形であり、従来の救済型統合の延長線上の経営統合だった。

ところが、前述の2件の経営統合は意味合いがまったく異なる。会社四季報は肥後銀行を「熊本県のガリバー地銀。好財務、堅実経営」、鹿児島銀行を「格付けは九州地銀で最高ランク」とそれぞれ評している。両行は地元を代表する名門地銀であり、これまでの常識では地域のトップ地銀は経営危機に陥らない限り動かないと見られてきた。

名門地銀の常識を越えた経営統合の背景には何があるのか。そして、大正銀行とトモニホールディングスの経営統合は広域地銀の都市圏進出の象徴と捉えられている。


統合のキーワードは「人口減少」と「越境」

肥後銀行と鹿児島銀行、トモニホールディングスと大正銀行、いずれも経営統合発表の記者会見で経営トップが経営統合を決断した背景として共通のキーワードがあった。それは「人口減少」だ。鹿児島銀行の上村基宏頭取は記者会見で「人口が減っており、10年後では遅い」と述べた。

トモニホールディングスの柿内慎市会長は「(四国では)今後人口減少が加速度的におこる。貸し出しシェアが高い分、落ち込みも大きくなる」と語った。人口減少は地銀にとってそれほどまでに経営の脅威となっているのだ。

以前から有力地銀の多くは、基盤地域から都市圏への域外進出を積極的に推し進めてきた。たとえば千葉銀行や群馬銀行は都内の営業拠点を充実させてきたし、大垣共立銀行は名古屋圏の富裕層取り込みに注力し、京都銀行は大阪圏での拠点を拡充させてきた。

しかし、域外の貸出金利は本拠地の貸出金利を下回るなど、必ずしも芳しい成果があがっていないのも事実だ。進出先の情報やノウハウに乏しく、新規参入では貸出金利の引き下げを余儀なくされることも多い。

トモニホールディングスが目を付けた大正銀行は大正時代に関西住宅組合建築株式会社として設立され、不動産向け融資に強いという特徴をもった銀行だ。単に都市圏に拠点を確保するというだけでは経営統合のメリットは限られている。統合先の強みを活かしてこそ、越境の真価が発揮できる。


再編のカギを握る株式保ち合い

経営統合についてまわるのは資本関係だ。メガバンクは出資を通じ、それぞれ親密な地銀がある。三菱UFJは中京銀行に4割弱出資するほか、三井住友フィナンシャルグループ <8316> もみなと銀行や関西アーバン銀行に多額の出資を行っている。これまでは資本関係がある銀行グループ内での経営統合が主流だった。

しかし、メガバンクは収益のあがらない国内事業から海外に目を向け始め、かつての資本グループ内の結束は弱まっている。

再編観測が絶えない地銀・第二地銀の株式持ち合いリストには少なくとも230組にのぼるペアがあるとされ、有価証券報告書で開示されていない例を含めると、さらに多くの組合せが存在するといわれている。

地銀再編にはこの株式保ち合いのパズルをくみ上げていく作業も必要であり、今後は想定外の経営統合も実現する可能性がある。(ZUU online 編集部)

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