4月末の金融政策決定会合を前に、日銀の中曽宏副総裁は量的・質的金融緩和を縮小する出口戦略について「日銀は資金の吸収手段を持っている」と自信を示した。一方、物価上昇率を2%とする物価安定目標をできるだけ早期に達成できるように政策を進めいている段階で、出口に関する議論は「時期尚早だ」との考えも述べた。日銀が異次元緩和を続ける最中、その幹部が出口戦略について言及した真意は何なのか。
議論される出口戦略
時期尚早とされる異次元金融緩和からの出口戦略だが、日銀内でもそれを意識する動きは出始めている。4月8日の金融政策決定会合では、木内登英審議委員が市場からの長期国債の購入額を約80兆円から45兆円に減らすよう提案した。
45兆円というのは、追加の金融緩和を打ち出した昨年10月末以前の50兆円という数字をも下回る水準だ。この提案は反対多数で否決されたが、少なくとも金融緩和の出口戦略が議論の俎上には上ったことになる。
その後、4月末に開かれた金融政策決定会合では、日銀は2015年度の物価上昇率の見通しを1月時点の1.0%から0.8%に下方修正した。さらに、「経済・物価情勢の展望 (展望レポート) 」では、日銀が目標と定めた2%の物価上昇率の到達時期を「2015年度を中心とする期間」としていたが、「2016年度前半頃」へ見通しを後ずれさせた。
黒田東彦日銀総裁は「物価の基調は着実に改善し、今後とも改善が続く見通しで、今の段階で何か追加的な緩和を行う必要はない」と強気な姿勢を崩さなかった。さらに、物価の基調に応じて躊躇(ちゅうちょ)なく政策の調整を行う考えを示した。