懸念される財政ファイナンス

市場では追加の金融緩和を期待する声もあがるが、同時に異次元緩和による副作用も警戒しなければならない状況にもある。日銀が金融緩和を通して国債を大量に購入し続ける限り、長期金利は低位に安定する。

一方で、日銀が国債の多くを市場から吸収することで、国債市場が機能しないほか、国の借金を日銀が肩代わりする財政ファイナンスとみられかねない。実際、長期金利が安定していのを尻目に政府の財政規律が失われる可能性もある。


サプライズを避けるためか

日本に先駆け、米連邦準備理事会(FRB)は昨年10月に量的金融緩和を終了させた。市場の予想通りの時期であったことから大きな混乱は生じなかった。しかし、量的緩和の縮小を巡っては市場を混乱に陥れた過去もある。2013年5月バーナンキ前FRB議長が、量的緩和の縮小に言及すると、市場はパニックに陥った。米国内では長期金利が2%台に急上昇し、その影響は日本にもおよび、日経平均株価は1日で1,000円以上値下がりした。

金融緩和を実施する際、サプライズが株価を押し上げるのに大きく寄与するが、縮小する際はその影響を最小限にとどめるため、ある程度地ならしをしておく必要があるのだ。

時期尚早とされる量的・質的金融緩和からの出口戦略だが、日銀は少しでもそれを匂わせることで、政府に対し財政ファイナンスから脱却し、財政再建の着実な実施を促すとともに、金融緩和縮小へのメッセージを少しずつ市場に送ることで、政策を転換する際の衝撃を最小限に食い止めようとしているのかもしれない。(ZUU online 編集部)

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