すなわち、医薬品の副作用情報は、国が管理し国の方針によって安全性対策が講じられるということである。それに対し、医療機関や製薬企業は忠実に副作用情報を提供しなくてはならないという構図である。


製薬会社の義務としての副作用報告

医薬品は国からの製造販売の許認可を得る前に、臨床試験(治験)で薬効や安全性(副作用)について実際の患者において試験を行い、その情報を収集する。臨床試験は参加する患者や病院の条件に厳密な取り決めがなされており、実態を必ずしも反映できない場合がある。また、参加する患者数はせいぜい数百人であり、対象薬剤を使った患者に現れるリスクを洗い出せるほどのデータは収集できないと言ってもよいだろう。

一旦、許認可された後は、その医薬品は治験とは比較にならないほど多くの一般の患者が利用する。そのため、治験では全く予期しなかった副作用が発現する可能性があるのだ。こういった背景から、国は製薬企業に対し製造販売後の承認をした後も、積極的に副作用報告を行うことを義務づけているのだ。

医薬品は製造販売許可を得て一般に売りに出された後も、積極的に情報を収集し医薬品のもつ本来の姿(どのような効果があり、どのような危険性があるのかなど)を明らかにし、利用者である医療機関や患者に情報を的確に伝え続ける必要がある。